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第1話
「ん、ぁ、ひぁ、ぁあっ」
初めて彩愛を抱いたのは夢の中。
零れる普段とは違う甘ったるい声。
背中に回された折れそうな位細くて華奢な腕。
必死に縋り付く姿に愛しさを感じた。
「…………………はぁぁ」
やってしまった。
目が覚めて一番に感じるのは途轍もない罪悪感。
真っ白な布団に吐き出された汚水。
汚れた下着とパジャマのズボンとシーツを洗う為に洗面所に向かった。
一度夢に見てから、彩愛は何度も俺の夢に登場する。
そして俺は現実では有り得ない位彩愛を甘やかしてキスして無理矢理身体を暴く。
で、目が覚めると夢精していて虚しさと自己嫌悪に襲われる。
俺の名前は敦賀啓史(つるが あきふみ)。
最強可愛くて綺麗な顔をした幼馴染みがいる以外は何も自慢出来る要素のない普通の人間だ。
幼馴染みの名前は真田彩愛(さなだ あやめ)。
初めて逢った時は互いに小さかった事もあるが、キラキラしていて天使みたいだと思った。
女の子みたいに小さくて可愛らしかった容姿は成長するにつれ美しく綺麗になっていった。
そんな彩愛は勿論老若男女関係なしにモテるが、本人は完全に無自覚で鈍感らしく自分は何処にでも居る平凡だと思っている。
だから周囲から向けられる好意にも全く気付かない。
なので必然的にさり気なく傍に居る風を装いながら周囲を牽制し、魔の手から彩愛を守るのは俺の役目になっていた。
それなのになんて事だろうか。
彩愛を邪な目で見る輩から守ってやるべき立場の自分が一番危なくなるなんて。
殆ど毎日俺は夢の中で彩愛を無理矢理犯す。
自慰の時も同様だ。
白くて細い身体も綺麗で可愛い顔も耳に心地好い鈴の様に愛らしい声も全て自分だけの物にしたい。
誰の目にも見えない所に閉じ込めて、俺だけの物にしたい。
サラサラの髪も透き通る様に潤んだ綺麗な瞳も皮膚も骨も内臓も全て全て、余す事なく喰らい尽くしたい。
そう思ってしまう自分は色々な意味でおかしいし、狂っている。
「アキちゃ~ん」
俺を見付けるなり嬉しそうに駆け寄る彩愛。
「おはよ」
ふにゃり柔らかく微笑まれて
「おはよう彩愛」
脳内で数え切れない位沢山汚してしまった事を反省する。
この汚れを知らない天使は俺が何を考えてるのか全く知らない。
年上の優しい幼馴染みの仮面を被った精神異常者に今日も可愛く懐いている。
彩愛は俺に憧れを抱いている様で、毎日俺をキラキラした瞳で見詰める。
本当の俺は狂っていて、尊敬なんかに値しない人間だ。
だが、可愛い幼馴染みに残念な姿なんて見せたくない。
俺は必死に勉強をし、身体を鍛えた。
お陰で良い感じに背は伸びてるし、程良く筋肉も付いた。
成績も運動神経も周囲に比べたら少しだが優れている気もする。
努力している姿は見せたくないし、格好悪い姿も見せたくない。
彩愛に隠れて俺は毎日努力を続けている。
学校の休み時間と放課後は俺にとって最高のご褒美タイム。
殆ど毎日彩愛が傍に居るからだ。
アキちゃんアキちゃん。可愛らしい声で俺を呼び、キラキラした瞳で俺を見ながら色々な話をしてくれる。
そっと指先で触れるとスリスリ擦り寄る姿に可愛過ぎて身体中の血液が沸騰しそうになる。
甘える仕草に元気になってはいけない所が勃ち上がりそうになり、その都度必死に目線を全く違う所に向けて誤魔化す。
何食わぬ紳士の顔で玄関前迄送り届け、自室に戻るなり内側から鍵を掛け、愚息に手を伸ばす。
「……彩愛。彩愛」
手を動かしながら思い浮かべるは可愛らしい天使の顔。
アキちゃん。脳内で声が再生されたと同時に吐き出された白濁。
ティッシュで汚れを拭き取りながら
「彩愛」
自己嫌悪で頭を抱える。
嗚呼、変態だ俺。
彩愛が可愛くて堪らない。
だが、この気持ちが何なのか分からない。
好きといえばそうなのかもしれないが、違うといえばそうともいえる。
多分今の所彩愛は俺のオナドルな立ち位置なのだろう。
他の人を見ても全く反応しない身体が彩愛を思い浮かべるだけで簡単に反応するのだから。
小6になると学校側から事務的に何回か私立中学のプリントを配布された。
中学迄は義務教育な為、何も勉強しなくてもそのまま地元の中学に入れる。
ハッキリ言って受験勉強は面倒。
小中なんて楽して遊びたい盛りだ。
何故遊び時間を削って迄勉強して受験するのか。
そう考えている人間が殆どで、俺も最初は地元の中学に行く気満々だった。
だが、夢の中でマニアックなプレイを彩愛にしてしまった瞬間嗚呼これダメなヤツだ。
俺は彩愛から離れる事を選んだ。
俺が選んだ私立は少し離れた所にある為往復1時間以上掛かる。
朝課外がある為家を出るのはまだ星が見える時間だし、生徒会補助に選ばれた上に部活動もあるから帰宅時間も遅い。
沢山の課題と予習復習をしたら今迄していた身体作りのトレーニングの時間が減った。
トレーニングといっても別にスポーツ選手じゃないから簡単な物だ。
腹筋背筋・腕立て伏せ・ランニングのみだが、すると疲れて朝までスッキリ寝れる。
なので減った分を取り戻す為通学手段をバスではなく徒歩に変えた。
すると今迄通りの生活スタイルに戻ったのだが、自由時間が極端に減った。
その為中学2年間は殆ど彩愛と遊べなかった。
俺的には寂しいが逢わない限り彩愛に変な事を仕出かさないので少し安心していたが、彩愛は寂しくて死んじゃうってまるでウサギみたいな可愛らしい台詞を口にした。
ヤバイ、可愛い。犯したい。
って、嗚呼ほんっとヤバ過ぎる俺。
夢や妄想だけじゃなく、現実世界でも彩愛に手を出してしまいそうだ。
2つ差だから同じ中学になっても1年しか一緒に居られない。
それでも1年間彩愛と過ごせたらどんなに楽しいだろうか。
傍に居過ぎたら絶対手を出してしまう自覚はある。
だが、そんな危険より今は一緒に居たいという彩愛の可愛らしい願望を叶えてやりたい。
いざとなったら必死に我慢して1人になった時に軽く処理すれば良いか、軽い気持ちで
「そんなに寂しいならウチ来る?」
勧誘した。
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