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第2話
かなり勉強したのか、彩愛は主席で入学した。
そのお陰か学校側からの推薦で生徒会補助に選出された。
生徒会に入ると注目されるし、人気も出る。
男子校だからかは分からないが、この学校には恋愛感情を含んだ親衛隊が複数存在する。
生徒会と風紀の役員には全てある為、必然的に生徒会長である俺にも親衛隊がある。
毎日好きです、抱いて下さい言われて正直キモイしウザいし面倒臭い。
補助になるイコール次期生徒会役員だ。
彩愛にもスグ親衛隊が結成されるに違いない。
俺の親衛隊はネコばかりだが、彩愛のはおそらくタチだらけになるだろう。
俺以外に抱かれる彩愛なんて見たくない。
牽制も兼ねて俺は出来るだけ彩愛の傍に居る様になった。
「啓史さん」
………うん、ちょっと待とうか。
脳内に割烹着姿でおたま持って、おかえりなさい啓史さん。ご飯にする?お風呂にする?それとも………俺?な姿が流れて本気で鼻血出そうになった。
どうやら生徒会長に向かってアキちゃん呼びは申し訳ないと判断したらしく、これからは人前ではアキちゃんではなく啓史さんと呼ぶ事にしたらしい彩愛。
呼ばれる度、新婚ホヤホヤのエロ可愛い新妻彩愛が脳内に浮かび、下半身をダイレクトに刺激する。
ダメだ我慢だ自制しろ。なるだけ冷静に努めていたのに、アッサリ俺の理性は旅に出掛けた。
人気が出た彩愛を見て、どうでもいい奴に奪われる位なら俺が奪ってやるって考えてしまったからだ。
彩愛の身体は想像以上に甘かった。
キスも唾液も精液も血も全て極上。
美味し過ぎて毎日味わいたい位だ。
一度触れたら最後、もう手放せなくなった。
「好き。アキちゃんが好き」
彩愛に言われて物凄く嬉しくなった。
だが、俺は返答出来なかった。
俺は自分でこの気持ちの名前を知らない。
この感情は純粋な好きではない。
どちらかといえば執着・束縛・独占欲・依存といった狂った感情。
ずっと一緒に居ようね?の意味合いも俺と普通の人では全く違う。
俺の一緒に居ようは、俺だけの世界で一緒に生きように繋がる。言うなれば監禁ルートだ。
俺だけを見て?は俺以外見るな。俺以外を見るなら、お前が見た奴を全員この世から抹殺するになってしまう。
俺以外に話し掛けるなや、笑いかけるなも同様だ。
だから俺は彩愛を抱きながらも必死に想いに蓋をした。
俺の愛情は歪んでいる。
これ以上好きになったら絶対に彩愛に酷い事をしてしまう。
だが、手放したくはなかった。
程良い距離を保ちつつ、でもチャッカリ手は出しつつ、幼馴染みの関係を続けた。
そうこうしているウチにあっという間になってしまった高校生。
やはり1年の月日は短過ぎる。
中学と違い共学な為沢山居るリア充。
長身で目立つからか生徒会長じゃなくなったにも関わらず俺は沢山の人達に告白された。
それも女子に。
今迄は可愛らしくても男ばかりだった。
まぁ男子校だったから仕方ないが。
この際彩愛への衝動を抑える為にこの中から選んで欲求を解消した方が良いのかもしれない。
軽く見渡すと、横顔がほんの少しだけ彩愛に似た美人が目に入った。
まぁ、良いんじゃね?
ムラムラもドキドキもしないが、悪くはない。
「好きです。付き合って下さい」
そう告げられて
「良いよ」
簡単に承諾した。
彼女の名前は氷紫可奈子(ひむら かなこ)。
艶やかな黒髪ロングで色白美肌な美女だ。
口数は少なく声も小さいから、話していて不快にならない。
性格は控えめで大人しく、全体的に上品な感じがする。
交際を決めてからスグ彩愛に報告した。
彩愛は泣きそうな声だったが、おめでとうって無理矢理笑顔を作ってお祝いの言葉をくれた。
それと同時に彩愛に手を出すのを止めた。
これからは彼女を相手にしなければならないからだ。
最初のウチは色々と無理だったが、ゆっくり時間が経つにつれ俺は可奈子に触れる事に慣れた。
なんだ俺普通じゃん。
可奈子と居る俺は普通の人間だった。
滅茶苦茶に抱き潰したいとも独占したいとも思わない。
唯普通にキスして手を繋いでたまに身体を重ねて。
そうか、俺大丈夫だったんだ。
彩愛と離れたからか、俺から狂気やおかしな思考は消え去った。
彼女と一緒に居る時間は穏やかで、俺はこのまま彼女となら一生幸せな生活が送れると確信した。
そうして俺は大学卒業と同時に彼女にプロポーズして結婚した。
順調に妊娠し、産まれた子供。
名前を秀隆(ひでたか)と名付けた。
美人な奥さんと可愛い子供に恵まれた俺は幸せだった。
が、時折彩愛を見る度物足りなさを感じる。
触れたい。抱き締めたいって。
だが、それは抱いてはいけない感情だ。
必死に目を逸らした。
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