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第1話
それはいつも通りの朝。な、はずだった。
「なあ黒木!聞いて!俺彼女できた…!」
「え…?」
「めっちゃうれしい!」
「そう、なんだ…」
「?…祝ってくんねえの?」
いつもならもっとテンション高いのに…
親友のお前なら、祝ってくれると思ってた。
「あ…うん…」
「なんで…?」
「…っ…ごめん!」
そう言って走り去って行く姿を、
ただただ目で追うだけだった。
「……………は?」
俺達は大学に入ってすぐ、
ノリのいい同士仲良くなった。
とってる講義もほぼ一緒で、奇跡みたいな偶然にめちゃくちゃ喜んで、そのまんま時が経ってもう四年生。今では大親友とも呼べる存在。
就活も終わったし、彼女でも作ろうかなと思ったら案外すぐ作れちゃって、自慢ついでに祝ってもらおうと最初に黒木に言ったのに。
…どうしてこうなった?
結局その日は目を合わせることすらなくて、怒りだけだったはずの頭は、どんどん冷静になっていった。
家に帰ってから改めて考える
なんか悪いことしたんかな、俺。
先に彼女作ったから怒ったとか?
でも、そんなやつじゃなかったはずだ。
ま、まさか…!
彼女のこと好きだったとか…!?
…ないな。
初めて知った風だったし、前から知ってたってことはないだろ。
じゃあなんだ…?
「ぬああっ…!」
わかんねえ、あいつと喧嘩したことねえし。
つうか、怒ってるとこ見たことねえぞ…
え、じゃあ初怒り俺じゃん。
やべ、なんかすげえことしちゃったんじゃないの?
あー、どうしたもんかな…
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