ガバッ！っと勢いよく後ろから抱きついて、離すまいと力を入れた 「ちょ！力強いって！」 「だって逃げるじゃん」 「逃げないから！離せ！」 「やだもーん」 「おまっ…もーんて…」 あきれ気味の黒木は抵抗するのをやめたらしい その証拠というか、耳が真っ赤だ。 わかりやすいやつ… そーっと俺の腕に添えられた手は少し震えていて、今どんな顔をしてるのか無性に気になった こっち向いてって言ってもどうせ向いてくれないんだろうな…ならいっそ… 「うわあっ！」 「ふっ…勝った」 「うぐっ…み、見んなあっ…」 耳だけじゃない、顔だって真っ赤で、それを恥ずかしがる黒木はかわいいなんてもんじゃなくて、綺麗っていうか、澄んでるっていうか… 「…キスしていい？」 「っ！？」 「なあ…だめ？」 「い、いちいち聞くな…！」 「うん、ありがとう。」 「ん…」 「ありがとう、好きになってくれて」 「ん！わかったから…はやくっ…んぅ」 唇が合わさって、１度大きく見開いた黒木の瞼がゆっくりと閉じていった。 怖がらせないように、優しく丁寧に何度も重ねたキスは、愛しいと思う気持ちを更に増幅させて、幸せだと、心が叫んでいるような気がした 唇が離れて、少し物足りないとも思ったけど、目元を潤ませて口半開きで高揚するこいつが見れたから、まあ良しとしよう。 「好きだよ黒木」 「ん……おれ、も」 これからもよろしく。 かわいいかわいい、俺の恋人。