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第14話 役に入り込む

ーー李と陳に頼まれて金獅子会にかち込んだ。 「おまえがこの横浜でのさばっている日本人の半グレか?こっちは横浜金獅子会だ。  事務所に来い。日本人が中国人に使われて、悲しいなぁ・・・名は何て言うんだ?」 「横浜決死組、岡本勝司だ。 おまえ等に横浜は好きにさせん。 覚えておけ。」 「デカい口たたくなぁ。半グレが。」  この後、抗争事件に発展する。そして一歩も引かない勝司に惚れ込んだ金獅子会の会長から盃をもらいヤクザの道を駆け上がるーー  そんな見ていて爽快な映画だった。映画の肝は鷹尾のヤクザな演技にかかっている。  殺陣も三代目殺陣師中村に弟子入りして、徹底的に身につけた。昔から格闘技は続けて来た。  乱闘シーンが見どころだと前評判だった。 「お疲れ様。鷹尾さん。」  帰って来た鷹尾は崩れ落ちるようにソファに倒れ込んだ。 「疲れたー!」 「マネージャーは?」 「撮影が延びたから先に帰った。 正樹がそばに付いててくれたら良かったのに。」 「はい、明日からご一緒します。」 俺はこの所、運転免許をとりにいっている。早く運転して鷹尾さんを送迎出来るようになりたい。 運転してくれるスタッフもいるが、鷹尾さんが嫌がる。気に障らない人間だけしかそばに置きたくない、という。難しい人だ。 「正樹、肩揉んで。」 身体中バキバキに凝っている。そして身体にあざが出来ている。 「大変な撮影だったんですね。」 「明日から一緒に来て。俺のそばを離れるなよ。」 そう言って抱きしめられた。 「お酒飲みますか?」  この前ミルクで失敗したので、スコッチウヰスキーをロックグラスに注いだ。  鷹尾さんは一息に飲んで 「ふう、やっと身体に血が巡りはじめた。」 肩を抱いて話しはじめた。 「極道の映画なんだよ。とびきりの極道。 主人公はいい男なんだ。俺に出来るのか? 男らしいって何だろうな。」  俺を抱いて胸に顔をうずめる。 何だか愛おしい。こんなデッカイ男が、弱音を吐くところなんてたまらなくセクシーだ。  俺の腕の中で眠っている。嬉しくてずっと抱いていた。鷹尾さんの髪を撫でて顎にくちづけた。  少し髭が伸びて男っぽい。しばらくして鷹尾さんがパッと目を開けた。 「正樹が抱いていてくれたのか? 明日の撮影には背中から全身に刺青が入るんだ。 数日間落ちないフェイクタトゥーなんだけど、 今夜はしっかり風呂に入るよ。  しばらくあんまり洗えないから。 一緒に入ろう。」

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