3 / 28
第3話
スタジオに戻ると
既にもう1人の俳優が待っていた。
この業界では知らない者はいない人気俳優。
だが、青年は特に気にする様子もなく
頭を下げる。
「よろしくお願いします」
俳優は青年の顔を見て、少し眉をあげた。
「新人?」
「代理です。」
「へぇ…」
それ以上の会話はなかった。
撮影が始まる、カメラが回る
照明の熱、静かな合図
普通なら、初めての人間は緊張する。
動きが硬くなる。
だが青年は違った。
表情がほとんど変わらない。
焦りもない、媚びもない
ただ、指示通り動いてる。
顔はどこか落ち着いていて。
ーー少しだけ、余裕があった。
俳優はその表情を見て、ほんの少し目を細めた。
(…誰だこいつ)
ともだちにシェアしよう!

