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第2話
青年は一瞬だけ瞬きをした。
「…俺ですか」
「セリフないから」
監督はあっさり言う。
「顔は問題ないしな」
周りのスタッフが少しざわついた。
「いやでも…」
「問題ない」
監督が遮る。
「やるか、中止にするか」
青年は少しだけ考えた。
それから淡々と頷く。
「分かりました」
「着替えてきます」
まるで、機材を取りに行くくらいの温度だった。
控え室で衣装を渡される。
「お前ほんと平気なの?」
スタッフが聞く。
青年はシャツのボタンを留めながら答えた。
「仕事なんで」
「…お前そればっかり言うな」
「そうですか?」
特に気にした様子もない。
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