11 / 28

第11話

「入っていい?」 この前、聞いた声。 人気俳優が部屋に入ってきた。 担当は立ち上がる。 「ちょうど今その話を…」 俳優は軽く手を上げ止めた。 「ちょっといい?」 「二人で話したい」 担当は一瞬迷ったが、すぐ頷いた。 「分かりました」 ドアが閉まる。 部屋に2人だけが残る。 俳優は椅子に座らず、机の端に寄りかかった。 「断ったんだって?」 湊は短く答える。 「はい」 「なんで?」 「俺の仕事じゃないんで」 俳優は少し笑った。 「この前やってたじゃん」 「あれは代理です」 「代理ならいいの?」 「あの時は必要だったんで」 「今も必要だよ」 「俺じゃなくてもいいと思います」 俳優は腕を組む。 「俺がいいって言ってる」 湊は少しだけ首をかしげた。

ともだちにシェアしよう!