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第13話

数秒の沈黙。 それから静かに言う。 「…借金あるんじゃないの?」 湊の手が、ほんの少し止まる。 俳優は続けた。 「ごめん、調べた」 部屋の空気が少しだけ重くなる。 湊はゆっくり俳優を見る。 俳優は軽く肩をすくめた。 「怒った?」 湊は数秒黙った後に言う。 「別に」 俳優は少し笑う。 「怒らないんだ」 湊は視線を外す。 「怒ったところで…」 「…借金減るわけじゃないんで」 俳優はその言葉を聞いて少し黙った。 それから静かに言う。 「じゃあさ」 「俺の相手役やれよ」 湊はすぐ答える。 「断ります」 「まだ断る?」 湊は机の上の資料を見ながら言う。 「俺の仕事じゃないんで」 俳優はその言葉をしばらく聞いていた。 それからゆっくり口を開く。 「じゃあ、仕事にすればいい」 湊が少し顔をあげる 俳優は真っ直ぐ見て言う。 「俺の相手役やれば、借金なんてすぐ終わる」 部屋の空気が静かに止まった。

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