16 / 28

第16話

夜、仕事が終わったあと。 湊はいつものコンビニでおにぎりを買った。 安い棚の、一番端。 2つ手に取る。 袋を受け取って外に出る。 街灯の下のベンチに座り 袋を開ける。 海苔の音が小さく鳴る。 1口かじる。 その時スマホが震えた。 画面を見る。 表示された名前ー母ー 湊は少しだけ目を細める。 電話に出た。 「もしもし」 母の声はどこか焦っていた。 『湊…』 『ごめん…』 『また…少し増えちゃって』 湊は何も言わない。 夜の車の音だけが聞こえる。 母は続ける。 『ほんとごめんね』 『でもちゃんと返すから』 湊はおにぎりを持ったまま、空を見た。 それから静かに言う。 「いくら」

ともだちにシェアしよう!