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第15話

湊はゆっくり椅子から立ち上がった。 榊原は少しだけ眉を上げる。 「帰るの?」 「はい」 湊は机の上の資料を軽く押し戻す。 「仕事あるんで」 榊原は小さく笑う。 「まだそれ言う?」 「事実なんで」 湊はドアの方へ歩く。 榊原が後ろから声をかける。 「湊」 足が止まる。 振り返らないまま答える。 「はい」 榊原は少し間を置いてから言った。 「考えとけよ」 湊は何も答えない。 ドアノブに手をかける。 「失礼します」 ドアが閉まる。 部屋に榊原だけが残る 「…ほんと動かないな」 机の上の資料を指で軽く叩く。 「でも」 「嫌いじゃない」 少しだけ口元が上がる。

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