15 / 28
第15話
湊はゆっくり椅子から立ち上がった。
榊原は少しだけ眉を上げる。
「帰るの?」
「はい」
湊は机の上の資料を軽く押し戻す。
「仕事あるんで」
榊原は小さく笑う。
「まだそれ言う?」
「事実なんで」
湊はドアの方へ歩く。
榊原が後ろから声をかける。
「湊」
足が止まる。
振り返らないまま答える。
「はい」
榊原は少し間を置いてから言った。
「考えとけよ」
湊は何も答えない。
ドアノブに手をかける。
「失礼します」
ドアが閉まる。
部屋に榊原だけが残る
「…ほんと動かないな」
机の上の資料を指で軽く叩く。
「でも」
「嫌いじゃない」
少しだけ口元が上がる。
ともだちにシェアしよう!

