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第23話

湊はおにぎりを一口かじる。 でも。 さっきの写真が頭に残っていた。 炊きたて。湯気。具。 湊は少しだけそれを見る。 (…) 手が、ほんの少しだけ止まる。 でもすぐに首を振る。 袋を握る。 (別に…これで足りる…) そのとき、背後から声がした。 「そんなに見てるなら」 湊の方が小さく揺れる。 振り返る。 榊原が立っていた。 いつからいたのか分からない。 湊は視線を外す。 「…見てないです」 榊原はテーブルよチラシを指で抑える。 「お兄さんが、奢ってあげようか?」 少しだけ笑う。 湊はすぐ答える。 「結構です」 「フラれちゃった」 榊原はチラシを持ち上げる。 「遠慮しなくていいのに」 「美味しそうだよ?」 湊は袋のおにぎりを持ち上げる。 「これあります」 榊原はそれを見る。 「そっか」 「でも…」 湊の耳元に近づき 「食べたくなったらいつでも連絡して」 とそのまま去っていった。 小さく息を吐いて その後、もう一口かじった。

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