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第27話

そのとき、車のドアが開く。 「どう?」 榊原が戻ってきた。 湊は少し顔を伏せたまま言う。 「…美味しいです」 榊原は少し笑う。 「そりゃよかった」 湊は明太子をもう一口食べる。 榊原はお茶を渡しながら言った。 「また食べたくなったら」 「連絡して」 湊は少し黙る。 それからショーケースを思い出すみたいに言う。 「…次は」 少し考えて。 「いくらと卵黄醤油漬け」 榊原は一瞬だけ目を細めた。 それから小さく笑う。 「覚えとくね」 湊は明太子をもう一口食べた。

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