30 / 30
第30話
それからも何日かそんな日が続いた。
撮影の合間。
バタバタした榊原が通りかかる。
「湊、お昼まだでしょ」
「これ食べといて」
「そのおにぎりもらうね」
湊が何か言う前に、榊原はもう次の現場に
行っている。
最初のうちは、湊も少しだけ戸惑った。
でも。
わざとじゃないことはわかっていた。
榊原は本当に忙しそうで
毎回、ちゃんと手をつけていない。
しかも、自分のおにぎりは持ってかれる。
だから、食べるしかない。
今日も袋を開ける。
少し高そうなサンドイッチ
一口食べる。
「…美味しい」
誰もいないところで小さく呟く。
ともだちにシェアしよう!

