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第30話

それからも何日かそんな日が続いた。 撮影の合間。 バタバタした榊原が通りかかる。 「湊、お昼まだでしょ」 「これ食べといて」 「そのおにぎりもらうね」 湊が何か言う前に、榊原はもう次の現場に 行っている。 最初のうちは、湊も少しだけ戸惑った。 でも。 わざとじゃないことはわかっていた。 榊原は本当に忙しそうで 毎回、ちゃんと手をつけていない。 しかも、自分のおにぎりは持ってかれる。 だから、食べるしかない。 今日も袋を開ける。 少し高そうなサンドイッチ 一口食べる。 「…美味しい」 誰もいないところで小さく呟く。

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