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◇小品 BPM125の拍動②【R18】

 クラブを出て、暁輝が七音を抱えるようにして連れ込んだのは、繁華街の奥に佇むラブホテルだった。 「あれ、いえかえんないの?」 「なお、まともに歩けないんだから、帰れないだろ」  回らない頭で納得した七音は、部屋に入るなり「ホテルだ!」とはしゃいで走り回った。が、すぐに目が回り、暁輝の胸に崩れ落ちる。 「もー。なんで断らずに飲んだの。強い酒だってわかっただろ」  呆れたような問いかけに、七音はとろんとした目で答えた。 「だって、……せんぱいのお友達だから、仲良くしたくて」  暁輝は虚を突かれたように目を見開いた後、抑えきれない愛おしさを笑みの形で漏らした。膝の上で七音を強く抱きしめる。 「別に友達じゃないから、仲良くしなくていいんだよ」 「そうなの?」  不思議そうに瞬きをする七音がたまらなく可愛い。軽く口付けて寝かしつけようとしたが、その腕は対象者本人に阻まれた。  七音は無言で暁輝を押し倒し、着ている服を無造作に捲り上げる。首元に唇を寄せてきた七音の顔を、暁輝は一旦制止した。不満げに唇を尖らせる酔っ払い。 「こら。早く寝なさい」 「なんで。せっかくホテルにいるのに、やることやらないつもりですか?」  暁輝は沈黙した。正直、完璧な据え膳だ。食わないという選択肢は存在しない。  暁輝は七音の体を組み敷き、火照って赤くなった唇を塞いだ。深く口を合わせると、酒精と甘味料の香りが混ざり合い、脳を直接揺らすような感覚に眩暈がする。指先で熱い身体の輪郭をなぞり、汗の混じった濃厚な七音自身の香りを深く吸い込んだ。  行為に性急さはなかった。七音はまだ体内に残る音楽の余韻に揺られているのか、時折、恍惚とした表情で意識を遠のかせている。そのリズムに合わせるように、暁輝はゆっくりと時間をかけて彼の体を拓いていった。  七音の秘められた場所にそっと指を潜り込ませる。今まで何度も暁輝を受け入れてきたそこは、いつだって男を知らないかのように狭く、健気に震えている。中の最も脆い場所を指の腹で擦り込み、快楽の感度を呼び醒ましながら、胸の頂を丹念に舌で弄ってやる。七音の口から、透明な高い声が鳴って夜の室内に響き渡った。  やがて、いつもよりも穏やかに、二人の熱が一つに溶け合う。暁輝はしばらく動かず、柔らかく吸い付いてくる内側の熱を存分に味わった。逃げられないように腕で囲い、深いキスを繰り返す。上も下も、熱くてたまらない。  腰を押し込むたび、七音は生理的な涙をはらはらと流してよく鳴いた。酒と音楽が混ざり合って理性が振り切れた七音は、いつもの控え目な皮を脱ぎ捨てて、全身で快感に身を委ねて感じ入っている。弱いところをしつこいまでに何度も押し込んでやると、身体を激しく震わせ、薄桃色の芯から白濁を吐き出した。  暁輝はさらに深く繋がりたい衝動に駆られ、七音を起こして自身に跨らせた。腰が深く沈み込み、切ないほどに重なり合う。突き上げながら、唇をめちゃめちゃに擦り合わせて、互いの呼吸をすべて奪い合う。その時、粘膜が吸い付くような生々しい音が響き、七音の体が強く震えた。 「あっ、まって、まって!それ、むりかもっ」 「え、無理?どんな感じ?」  暁輝は宥めながらも、動きを止めない。室内に粘着質な音がリフレインする。触れ合った肌が汗で滑り、密着するたびに高い熱を放つ。  暁輝が堪えきれず、ひときわ強く最奥を突いたとき。今までになく「入った」感触があった。同時に、七音の体が連続して跳ね上がる。 「は……っ、……ぁ……、」  声にならない声を上げる七音の、とてつもないうねりと締め付けに、暁輝も歯を食いしばって快楽の極致を共有した。  暁輝が息を整えた後も、七音は全身を粟立たせたまま、高みから戻ってこれない様子だった。ふと目線を下げると、七音の性器が二度目の絶頂の証を吐き出していないことに気付く。 「なお、出さないでいっちゃったの?」  ぼんやりとした目をした七音は、問いの意味を理解できていないようだ。暁輝はその「事態」に気づき、意地悪く口角を上げた。愛らしい頬に何度もキスを贈りながら、背骨を数え上げるように優しく、けれど執拗に撫で上げる。 「ね、今のもう一回やっていい?」 「は!?むり。絶対むり!」  酒が回った七音に、暁輝の猛攻を防ぐ手段などなかった。  結局、彼は足腰が立たなくなるまで貪り尽くされ、翌日は二日酔いも相まって散々なコンディションとなった。七音の恨みがましい呪詛をBGMに、暁輝はどこまでも機嫌よく、彼を介抱し続けるのであった。

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