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第30話 【最終話】幼い願い(主人公攻め)
「出来損ないになると、やっぱり理性がなくなっちゃうんだね」
「食欲の次は性欲みたい」
何か音が聞こえるが、どうでもいい。
足の間で固くなったものを目の前にある腹に押し付けた。
「……せめて気持ちよくなってほしいな。つらいのは嫌だよ」
「っ」
掴まれて、そのまま引き寄せられた。ベルトを外され、服を脱がされる。なにをされるかわからない。わからないのはこわいのに、なんとなく、手を払わなかった。固くなった熱をそっと掴まれた。
「ここ、入れられる?」
服から溢れた熱の先が肉の足の間の窄まりに触れる。熱からぬるぬると溢れたもので滑って、上手く嵌らない。
そうだ、俺はこれがしたかった。ここに入るのはきっと気持ちいい。そんな気がする。ぐいぐいと腰を動かしても、だめだ。唸った喉を、冷たくて気持ちいい指で撫でられる。
「じっとしてて」
餌が動いた。指を窄まりに突っ込むと、そこは開いた。
「これで、ね……?」
穴の方から近付いてきて、ぬるん、入った先は熱くて、きつくて、狭くて、
「っあ、あぁぁ」
声が溢れた。欲しかったのはこれだ。気持ちいい。もっと。熱の全部をこの中に入れたら、きっと気持ちいい。熱がゆっくり含まれていくのを待っていられない。
腰を動かすと、ずぶずぶ中に入っていく。
ほしかったものは、これだった。
簡単だった。
「っ、さつき……」
肉が何かを喋っている。どうだっていい、そんなこと。
腹がいっぱいになって、足りなかったものが埋まればいいだけだ。
「っ、あ! あ、ぅ……」
「気持ち、良い? ッ! 良いと、いいな」
腰を動かす。動かせば動かしただけ、きもちいい。熱が全部熱で覆われて、ぎゅうぎゅう締め付けられて、ぞくぞくする。
抜いて、入れる。また抜いて、また入れる。
そんな簡単なことで、どんどん満ちていく。ざわざわして、どくどくして、なにかが来る。
「中に、ちょうだい? 皐……ッ!」
「――ッ!」
頭を撫でられて、耳の裏を撫でられて、ぞくぞくするなにかを抱えきれなくなって、それで、なにかが、出た。
あんなに熱かったのに一気に落ち着いて、そうしたら今度は腹がぐぅぐぅ鳴った。足りなかった。満たされなかった。これじゃなかった。欲しいものはなんだろう。
「性欲が落ち着いたらまた食欲?」
「両方落ち着いたら、きっと大人しく眠ってくれるよ、きっとね。その間に首輪付けちゃえば安心だね」
がぶり、腹に噛みついた。肩よりもやわらかい。
「っ、あ! ご、めん。ごめん、ね……?」
肉がなにかを言っている。妙に美味しい肉で、噛めば噛むほど広がる甘さに夢中になって、気付けば爪で肉を引き裂いていた。腹の中にずぶずぶと手首まで埋めていく。
「そ、れでも……会えて、うれしか、った。俺、と同じ……だから……」
あたたかい。
あの時の母さんや父さんのはらわたとは違ってあったかくて、手を、腕を、包み込んでくれる。もっと中に入りたい。もっと包んでほしい。ずっと包まれていたい。この心地好い香りと温度の中で。
「だから……同じになってほしく、なくて。躊躇って……ごめん」
肘までたっぷりとあたたかな胎内に浸った。指先がなにかに触れている、どくどくと脈打って生きている何か。
心臓。
それはきっとおいしい。
それはきっと俺の空腹を満たしてくれる。
「──ッ」
肉が震えた。痙攣して、大きく跳ねて、食べにくい。肩に齧りつく。固い。腹ならもっとやわらかいだろうか。
肉を地面に転がして、手で開けた腹の穴に顔を埋めた。
「思ったよりも食欲旺盛だね」
「餌用にアイリを置いてなかったら僕が食べられてたかも」
穴には血が溜まっていて、甘い飲み物を口にたっぷりと含み、ごくごくと喉を鳴らした。
飲んだら、食べたくなる。
やわらかい部分だけを口に含みながら、穴の奥を探る。腹の肉と臓腑は肩よりも遥かに匂いが強くて柔らかく、美味しかった。
大分満たされてきた。あとはとっておきのものだ。
「っぐ……」
艶めかしい深紅を纏ってぬらりと光る宝石が奥まった場所で脈打っているのが見えた。
「ごめん、ね……」
この世でそれだけが持つ美しさに目を奪われて、思いきり掴み、引きずり出した。
「──」
大切な宝物に牙を立てる。
全ての音が、消えた。
【偏愛ネクロマンチシズム ED1 幼い願い】
※その他のエンディングや水無月とアイリの幸せな結末はフリーゲーム「偏愛ネクロマンチシズム」をご覧ください。
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