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第1話 いちご狩りに来たが、狩られるのは俺らしい(は?) ※

「っ」 「おい、てめぇ俺の下で何あんあん喘いでやがる」  ぱち、と下にいる男と目が合う。男は荒く息を吐きながら、それでも俺から目を離さないで見上げてくる。変に意思が強い。俺たちの体勢はどうなっているのかというと、いわゆる騎乗位状態である。  ちなみに俺が上で、男は下だ。とても大事なことだから2回繰り返しておこう。  俺が上で、男は下だ。  あーあ。この男。せっかく朝、早起きしたであろう整えてた前髪が崩れてる。さっき皆で いちご狩りして写真撮ってる時は、この男の前髪しっかりきまってて抜け感あったのになー。  俺が上から絶対零度の瞳で見下ろしたら、ひくんと男の喉仏が跳ねるのが見えた。だから俺はその首にゆっくり片手を添えた。 「空気みたいな存在の俺とヤるのって、簡単だと思った? 俺のこと、TE〇GAみたいに扱えるとか思ってたわけ?」  俺のドスの効いた低い声で詰問されたそいつは、ふるふると首を横に振る。 「あ"ーっ。クソ。俺はお前に誘われて いちご狩りに来ただけだってのに、何でお前に喰われてんの? てか、この体勢なら喰われてんのお前じゃね?」  今の一言が奴の琴線に触れたのか、中でぐっと先端が膨れているのがわかる。俺は代わりにぎゅっと奴の竿を捻り潰す勢いでナカを締めた。 「ゔっ……馬鹿! ま、待てっ。そんな締めつけるなっ! 潰れるっ」 「は? 押し潰そうとしてるだけだから黙れよ。この淫乱」 「わ、悪かったって。なんか今日のお前、いつもより綺麗だし喋んなければ美人なほうだろわりと」  俺の眉間に険しい皺が寄ったのを、奴は無様にも俺の下から見上げるしかないようだ。俺の反応を見て肩ががくがく揺れている。 「お前ほんっと余計な一言得意だよな。今のセリフ女子に言ってみろよ。拳で殴られるぞ」  口論で俺に勝てたヤツは今まで2人しかいない。俺の母と、姉だ。従って、決してこいつには負けないと誓う。母と姉の名にかけて。  シングルマザー家庭の俺は、母と姉の3人で幼い頃から暮らしてきた。家庭の事情っていうやつで、中学生の頃まではよくいじめられていた。 『お前ん家、とーちゃんいないんだろー! ビンボーだ!』  とかなんとか好き勝手言われてた。身体も細くて、足も遅いから追いかけられたら逃げられないし、物凄いガリ勉くんだったから。  だが、そんな俺に転機が訪れた。成長期に伴って身長が急速に伸びたのだ。周りは175センチくらいの奴らが女子から高身長ともてはやされ、モテた時代に、なんと俺は185センチもあった。  もやしみたくひょろっこくて女子にはモテなかったが、いじめてきた男たちは成長が止まって160センチ程度のチビばかりだったから怖くなくなった。  そこには巨人と蟻くらいの差がある。  それに加えて俺は自らを鍛えるため、過激ないじめ復讐系漫画を読み漁り、アニメではそのセリフを覚えたりして実際にそいつらに使ってみたら、その日以来奴らは話しかけてこなくなった。  おそらく、 『何言ってんだこいつ、頭おかしくなったのか? あいつには関わらない方がいい』  と判断されたようだ。  それ以来、家の中で母と姉と喧嘩する時には決して手は出さないが言葉だけは強くなった。でも、2人には勝てなかった。  そんな俺が、こんな俺の下であんあん喘いでるような私立大学の一軍イケメンに負けるわけがない。  今からそれを証明してやる。  そのためにはまず、なぜこうなったのか状況を整理する必要があるだろう。  事のはじまりは──『 いちご狩り』だった。

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