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第7話 【ケンカップル成立?】喰われ合い、恋のはじまり ※
「テメェ、それ以上触れたら……殺す」
後ろを振り向き、荒い息を吐きながら零せば奴はけろりと受け流す。
「んー? お尻丸出しで突き上げてる人に言われても効果はないなあ」
「……っ死刑確定だ!」
「なに? ゲームのセリフ?」
あはは、と奴は空笑いを唇に浮かべてとことん俺をおちょくってくる。この姿勢から逃げ出したいのはやまやまだが、奴の腕力は怪力で簡単には抜け出せそうにない。
「力抜いてて。挿れるよ」
「は?」
つぷん、とおしりの内側に何かが入ってきた。ぞくぞくと腰から脳天にかけて甘い刺激が波のように何度も寄せては返して伝わっていく。俺は目を伏せてぎゅっと手元のシーツを握りしめる。掴まっていないと何かに流されてしまいそうで怖かった。
なんだ。これ……変な感じする。
奴は指を俺の胎内に入れているようだ。ゆっくり出し入れを繰り返し、2本、3本と指の数を増やしているのが直に伝わってくる。3本全てを飲み込んだ俺の身体に更に異変が起こる。不意に前が反応しだしたのだ。
「あっ……えっ!?」
戸惑いの声を洩らせば、奴が後ろから俺の上を向いた竿をぢゅこぢゅこと扱きだす。後ろも前もいじられて意識がくらくらとする。
「すごい。後ろの才能あるね。前、こんなに硬くさせて」
「ゔっ……ん……ゃあ」
「ほらほら。だーめ。逃げない」
「あうっ……はぁ」
ぐいっと腰を掴まれて後ろに引っ張られる。その衝撃で胎内の中に入っている中指の腹が何かを押した。こりこりとした何かを見つけた奴は執拗にそこを押してくる。その度に、とろ、と我慢汁が先端から溢れてシーツを濡らした。
「うぁ……だめ……おかしく、なる……っ」
「いいよ。おかしくなっても」
頭くらくら、視界も涙でぼやげてブレブレの俺には奴の放ったその一言が解放のトリガーになったようだ。今まで制御してきた脳内の指示が全て飛び、頭の中が真っ白になる。
「ああっ……んんっ」
その瞬間、俺はきゅうっと後ろを締め付けて前も触らずに達してしまった。びゅ、びゅっ、ととめどなく白い液がシーツや胸に飛び散る。犬の伏せのようなポーズのまま、後ろの刺激だけでイってしまった。俺ははあはあと息を荒らげてその場にへにゃりと腰を抜かしてしまう。そしてようやく、奴の指が胎内から全て出ていった。
「すご。穴くぱくぱしてる」
「……っ」
もう何も言い返せなかった。自分でする自慰よりも何倍も気持ちよくて、ただ頭の中もお腹の奥もとろとろになる。
「メスイキ開発成功だ」
「……? メス、イキ?」
にこにこ笑う奴の言葉に酸欠気味の俺の耳は右から左へ言葉が抜けていくのを感じた。
「イけてえらいな」
「……なでなで、するなぁ……っ」
前髪をなでなでされて思わず唸ると、奴はすぐに手を引っ込めた。俺に噛みつかれるとでも思ってビビったようだ。
「じゃあもう大丈夫」
「へ?」
くるん、と身体を反転させられる。シーツに背中を埋め、足を開かされた。そうして、奴がピンク色の包装紙を口で噛み切り、自身の竿の先端に何かを被せた。
「ね? ゴムもらっておいて良かったね」
「んぁ……!?」
まさかここで、昼間にサービスエリアで奴にもらったご当地コンドームがその真価を発揮する時が来るとは。
「挿れるよ」
「待っ──」
ずぷん、と奴の硬くそそり立つものが俺の胎内に入ってきた。それは最初は優しく穿つような動きだったが、次第にどちゅ、どちゅ、どちゅと激しい動きに変わっていく。
「痛くない?」
「……っ」
痛くはなかった。むしろ、気持ちよかった。でも、それを伝えたくなくて唇を噛み締めていた。すると奴は苦笑いを浮かべて俺の腹の上を撫でる。
「ここ。俺の先っぽが新の子宮にキスしてるの、わかる?」
こいつ、馬鹿だ。男に子宮はない。
だけど、言い返す余裕もない。なんだそのAVみたいなセリフは。聞かされている俺のほうが恥ずかしい。
「わかんな、いっ……」
「あ。締まった。下のお口でお返事上手だね」
「ちがっ、う……」
俺が焦れば焦るほど奴がご機嫌になっていく。今のところ、全て奴のペースで始まっている。このままでは俺の威厳が保てない。
一軍陽キャにこれ以上好き勝手されてたまるか!
そう思ったら普段の100倍の力が湧いてきて、一瞬の隙に奴をシーツに沈め馬乗りすることに成功した。奴は目を丸くして俺を見上げるだけだった。
「え、えっと? 騎乗位、してくれるの?」
戸惑う奴の顔が滑稽で、こんなふうに見下ろすのも悪くないなと内心笑った。
「黙れ。変態」
ん?
なぜか、俺がそう言った直後に胎内に突き刺さっている奴の竿がぐんと硬くなった。それが面白くて俺は何度か小刻みに腰をくねられ打ち付けた。そしてまた更に奴の竿が硬くなる。鋼のように熱く大きい。
「ちょっと、待って……そんな締め付けられたらっ無理、出る……」
「はあ? 早漏かよ。だっさ」
「……っ」
またしても奴のものがびくんと中で脈打った。
これはまさか……。
「お前、Mなのか? 淫乱だな」
「……っく」
ああ。そういう顔だよ。お前の完璧な表情が砕けるところ。それが見たかったんだ。
奴は歯を食いしばり、俺の腰の動きを止めるために両手で俺の太ももを押さえている。
「おい、てめぇ俺の下で何あんあん喘いでやがる」
「っ」
奴の目が潤む。頬は紅潮しいつもの飄々とした様子はない。
「空気みたいな存在の俺とヤるのって、簡単だと思った? 俺のこと、TE〇GAみたいに扱えるとか思ってたわけ?」
俺のドスの効いた低い声で詰問されたそいつは、ふるふると首を横に振る。
「あ"ーっ。クソ。俺はお前に誘われて いちご狩りに来ただけだってのに、何でお前に喰われてんの? てか、この体勢なら喰われてんのお前じゃね?」
今の一言が奴の琴線に触れたのか、中でぐっと先端が膨れているのがわかる。俺は代わりにぎゅっと奴の竿を捻り潰す勢いで胎内を締めた。
「ゔっ……馬鹿! ま、待てっ。そんな締めつけるなっ! 潰れるっ」
「は? 押し潰そうとしてるだけだから黙れよ。この淫乱」
「わ、悪かったって。なんか今日のお前、いつもより綺麗だし喋んなければ美人なほうだろわりと」
俺の眉間に険しい皺が寄ったのを、奴は無様にも俺の下から見上げるしかないようだ。俺の反応を見て肩ががくがく揺れている。
「お前ほんっと余計な一言得意だよな。今のセリフ女子に言ってみろよ。拳で殴られるぞ」
俺のため息混じりの言葉に奴は肯定も否定もしなかった。ただ、期待で高まった強い視線だけは感じることができた。
「仕方ねえな。俺もまだ物足りないからヤらせてやるよ」
「っく……」
たんたんたん、とリズム良く腰を上下させる。俺は自分の胎内の中でさっき奴が指で押したこりこりとしたところに当てるように穿つ。奴のものの大きさは俺の胎内にぴったりの大きさで申し分ない。角度も自由自在に動かせるし、硬さもちょうどいい。
俺は新しい大人のおもちゃを与えられたような軽い感覚で今のこの時間を楽しんでしまえばいいと自分に言い聞かせた。幸い、主導権を握っているのは俺のようだし。
奴は小さく声を我慢して喘ぐだけで、何の脅威にも感じない。
俺は最後、一度ぎりぎりまで竿を引き出してから最奥まで勢いよく穿った。
「っく」
奴が果てたようだ。胎内でゴム越しにどくどくと何かが溢れているのを感じる。それは熱く俺の胎内も溶けそうだった。そして俺もその瞬間にイっていた。俯いて腹を見れば俺のものは触らずに白蜜を吹き散らしていた。
「……っ」
2人して荒い息を上げたまま、シーツに沈む。数分してから不意に奴が言葉を発した。
「あーあ。新のことを喰うつもりだったのに、最後は俺が喰われたな」
その声音は優しく俺の耳の中へすべり込んだ。
「なんだよ。俺をいちご狩りに誘ったのはセフレ目的だったのかよ」
俺がジト目で抗議すれば奴は「違う違う」と笑って俺を見つめる。
「好きだから、シたくなっただけ。本当は今日のいちご狩りをきっかけに徐々に距離を縮めて告白したかったのに……。新の寝顔が可愛すぎて我慢できなかった」
「……え?」
まさかの告白に脳が思考停止した。
奴──海皇が俺を好き?
「だからさ、これからも仲良くしてくれたら嬉しいんだけど」
「は? 待って。意味わかんねえ」
「だから、恋人としてってこと」
ふに、と無防備だった唇にキスされた。
「俺と付き合うの、嫌?」
「……嫌っていうか……まだお互いのこと知らないし」
「俺は新のこと、ずっと前から知ってる。大学1年生の時にキャンパスに迷い込んだ猫を抱っこして、飼い主さんに渡すのを観てからずっと好きだった。なんて優しい人なんだろうって」
「……」
海皇の言葉は嘘には聞こえなかった。事実、確かに俺は大学1年生の時に猫を保護して飼い主に渡したことがある。でも、そんなに目立つようなことをした自覚がなかった。そんな細かいところも見られてたのか。
「ね。だからさ、これからは俺の彼氏になってよ。俺も新の彼氏になりたい」
「……か、勝手にしやがれ!」
遅れてやってきた羞恥に顔を背けて言えば、海皇はそんな俺の顎を両手で優しく包んで呟く。
「うそ。ほんと。やった」
また、軽く触れるだけのキス。
ファーストキスはいちごの味がした。
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