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告白*
はぁはぁと男の耳元でリンデルの荒い息だけが聞こえている。
男がその背を、髪を、ゆっくりと優しく撫でる。
しばらくビクビクと時折身体を痙攣させていたリンデルが、ふにゃっと表情を緩ませる。
「……ふ、ぁ……気持ち、い……」
余韻を味わうような恍惚とした声に、男が苦笑する。
「まだ、足りないだろ?」
言って男はリンデルの首筋を舐める。
「ん……っ」
ぴくりと肩を震わせたリンデルの胸へと男は手を伸ばす。
まだピンと尖っているそれを、指先でぐりぐり捏ね回されて、リンデルが身を捩る。
「ぅ、ん、……んんっ」
「確かに、片腕じゃ不便だな」
男がポツリと漏らす。
「両腕あれば、同時に弄ってやれるのにな」
笑って冗談っぽく言う男に、リンデルが愛しげに口付ける。
「カース……」
「なんだ?」
「好き……」
「ああ」
「大好き……」
「分かってるよ」
「カースは……?」
「あ?」
「カースは、俺の事、好き……?」
「そんなん決まって…………」
そこまで言って、男は気付く。
あの頃も今も、まだ自分は一度もリンデルへ気持ちを告げたことが無かったのではないだろうか。
自分が貰うばかりで……。
「……っ」
男が後悔を滲ませて、息を詰める。
「カース……?」
そんな男に、リンデルが不安そうな顔を見せる。
「違うんだ、リンデル」
「……違うの?」
「いや、違わない! 俺は、俺はお前の事が………………っ」
「俺の事が……?」
「す…………す………………っっ……っ」
顔を真っ赤に染めて、そこから先が口にできない様子のカースに、始め期待を浮かべて待機していたリンデルが我慢できずにクスクスと笑い出す。
「い、いいよ、カース。ごめん。無理しなくていいから」
「……リンデル……」
なぜか絶望を浮かべているカースへ、リンデルが優しく口付ける。
「大丈夫、俺も分かってるよ。ただちょっと、聞きたくなっただけ……」
苦笑するリンデルがほんの少し淋しげで、男は胸が苦しくなる。
「すまない……言い慣れてないだけで、その……」
「うん。分かってるよ。俺の方こそ、ごめん」
「謝らなくていい。……お前は何も悪くない」
男が、慰めるようにリンデルの髪を撫でる。
「じゃあ、カースも謝らないでね?」
「…………分かった」
男が渋々頷くのを見て、リンデルがまたクスリと笑う。
無邪気で愛らしい、まるで天使のような笑顔だと男は思う。
けれど、その天使のような青年は男の上で金の髪を揺らして腰を振り始めた。
大方、男が後悔に駆られて萎えたのを気にしたのだろう。
「ん……、ぅ……」
自身で起こした刺激にじわりと頬を染めてゆく青年を、カースはじっと見つめていた。
「……は、……ぁ…………カース……?」
「なんだ?」
「……っ……あ、あんまり、……見ないで、恥ずかしいよ……」
金色の髪が揺れ、恥ずかしげに顔を逸らす。
潤んだ瞳を金色の睫毛がそっと隠す。
「……リンデルは本当に可愛いな」
男が愛しげに囁く。
カァァと音がしそうなほどに、リンデルが耳まで真っ赤に染める。
男が熱を取り戻したそれで愛を込めて貫くと、男の上で青年は愛らしく喘いだ。
「あっ、あぁあ……ぁあんっ。ん……あっ、あああん」
ガクガクと下から突き上げられて、リンデルはカースの肩に縋り付く。
「ぅぁ、あ……気持ち、いい……よ……っ」
熱い吐息が、男の肩に降る。
「はぁ、あぁ……、カース、も、気持ち、い……?っ、んんんっ」
蕩けるような声で問われて、男の下腹部に熱が集まろうとするのを、男が息を吐いてこらえる。
「ああ」
短く答える男は、それを口に出来ないほどには追い詰められていた。
「ねぇ……カースも……っあっ……いっしょに……イこ?」
囁いて、リンデルが男の唇を奪う。
突き上げるたびに口内に響く甘い声が、男の理性を灼く。
一筋の銀糸を残して離れた青年が、潤んだ瞳で覗き込んで可愛らしくねだる。
「俺……、んっ……カースの、注いで、欲し……い……」
言われて、男がピタリと動きを止めると、熱を吐き出すように大きく息を吐いた。
「そう煽るなよ……。俺はお前と違ってもう若くないんだ」
「?」
金色の瞳が不思議そうに見つめ返す。
「これでも、お前が満足するまで、って、我慢してんだ」
「我慢……しないで……?」
リンデルが、男へ愛しげに口付ける。
舌を挿し込んでくるリンデルに、男が声を上擦らせた。
「っだから……っ!」
リンデルは、離れようとする男の頭を抱き寄せ、強引に口を塞ぐ。
「っ……ん……んんっ」
テントに二つの水音を響かせながら、リンデルは自ら腰を振った。
「ん、んんっ……ん゛ん゛っ……ゔ……、んん……っ」
くぐもった声が、お互いの口内へ響く。
徐々に激しくなる動きに息苦しくなったのか、リンデルが耐え切れず口を開くと、飲み込みきれなかった唾液と共に嬌声が溢れた。
「あぁあっ、あぁん、あっ……んんっ、あぁ……気持ち、いぃ、よ……ぅ……」
真っ赤に頰を染めて男の肩にすりすりと顔を擦り付けながら、昂りを抑えられない様子で訴える声に、男の灼き切れそうな理性が悲鳴を上げる。
眉間の皺を深々と刻みつつ、男はリンデルの腰をぐいと引き寄せ角度を変える。
「あぁあぁぁぁんんっっ、そ、そこ……気持ち、い、あっ、やっ、だめっ、あんっ、イ、イっちゃう、よ、ああんっ、また、イっちゃう…………ぅっ……」
ぶるぶると体を震わせて、リンデルがめくるめく快感にぎゅっと目を閉じる。
「ふ、ぅ、ぁああぁぁぁあああぁぁぁあっっっーー……!!」
びゅくびゅくと、男の腹へまた白濁した液体が撒かれる。
リンデルの声が途切れ、しんと静まり返るテント。
まだ時折、リンデルの腰が痙攣するようにビクンと跳ねている。
「……カース……カースぅ……っ」
泣き声のような細い声をなんとか絞り出しながら縋り付くリンデルの頭を、男がそっと撫でる。
「俺……だけじゃ……淋し……よ……」
震える肩で大きく息を継ぎながら、リンデルが訴える。
金色の瞳からは、ぼろぼろと涙が零れていた。
「カースの、が……ナカに……欲し……のに……」
泣き出してしまったリンデルを、男が少し困った顔で愛しげに撫でた。
「泣くなよ……」
「だって、カースが……っっ」
悲しげに眉を寄せるリンデルの言葉を、男の唇が遮る。
男がリンデルの腰に手を添える。角度を合わせ突き上げると、ぐちゅりと音を立ててそれはリンデルの最奥へと刺さった。
「あぁああああっ!!」
男は、自身をさらに締め付けてくる感触を味わいながら、そこを責め立てる。
体は大きくなっても、感じる部分は変わらないらしい事に、男が口端を上げる。
「あ、ぁぁああぁっ、ま、まだ……だ、めぇ……っっ」
きゅうきゅうと締め付けるリンデルの中を荒く掻き回すと、ぎゅっとリンデルが男にしがみ付いてきた。
「ぅ、……ぁ、おかしく、なっちゃ……ぅ」
震える唇から溢れる、あの頃と変わらない言葉に、男は愛しさを堪えきれず囁いた。
「リンデル……愛してる……」
ハッと見開いた金の瞳を、嬉しそうに細めてリンデルが応える。
「ぁ……俺、も……愛してる、よ……カース……」
二人は見つめ合い微笑んで、口付ける。
口元を緩ませた男が一層激しく突き上げ、青年は銀糸を引いて仰け反った。
「あっ、あああっ、ぁあぁぁぁあああああンンッっ!!」
「……っぅ」
男の表情が嶮しくなる。
「は、あっ。カースの、おっき、く……っっんんんっあああああっっ!」
熱く膨張したそれに、ごりごりと音がしそうな程に奥を突かれて、悶え狂うように揺さ振られる金色の髪。
一際大きく突き上げた男がピタリと動きを止めると、リンデルがビクンと大きく跳ねた。
「あ……っ、熱い、のが……んぅ。ぁああぁぁっ……っ、いっぱ、い……」
それに呼応するように、リンデルのそれからも白い液体が溢れる。
「……これが……欲しかったんだろ?」
男が肩で息をしながらも口端を美しく上げる。
男の上でリンデルはうっとりと目を細めて、体内に広がる熱を一滴残らず飲み込もうとするかのように筋肉の収縮を続けていた。
「ふ……ぅ……ぅん……」
ビクビクとまだ痙攣の続く体を男にそっと寄せて、リンデルは幸せそうに目を閉じる。
「ずっと…………、ずっと、欲しかった……カースが……」
少しずつ息を整えている青年の髪を、男が優しく撫でる。
「俺も結局は……ずっと……お前に囚われたままだったな……」
「……?」
ぱちくり。と音が聞こえそうな金色の瞬きに、男が小さく苦笑する。
「目を閉じるといつだって、お前の金色がチラつくんだよ」
男が静かに閉じた瞳を、またゆっくりと開く。
空色が闇に煌めいて、リンデルはその艶めいた瞳に心奪われる。
「……お前を忘れる事は、ついに一度も出来なかったな……」
男の空色に後悔の影がかかるのを、リンデルはどこか信じられない気持ちで見た。
「……カース、俺のこと忘れたかったの?」
「忘れられるもんなら、な……」
「……忘れたかったんだ……」
悲しそうに呟く青年を、男が宥めるように撫でる。
「結局俺は、お前の事だけは捨てられなかったんだ……。……あんなに全部、投げ捨ててきた癖に、な……」
ほとんど聞こえないような声で呟いた男の言葉を、リンデルは耳を澄ませて聞いた。
「まだ今も、俺の事忘れたい……?」
不安そうに尋ねられて、男は「まさか」とリンデルに微笑む。
「もう、ずっと前に決めたんだよ。お前の可愛い姿は、俺が死ぬまで俺だけが覚えておくって」
優しく口付けられて、リンデルは少し安心した顔になる。
「まさか、お前が俺の事を忘れきってなかったとは、思わなかったけどな……」
苦笑してみせた男がまた後悔に呑まれそうになるのを、リンデルが引き上げる。
「俺は、絶対、カースのこと忘れたくなかったから!」
驚いたように瞳を開く男に、リンデルは極上の笑顔を見せる。
「カースに、どうしてもまた会いたかった」
ニコッと微笑まれて、男が息をのむ。
「会えて、すごく嬉しい!」
ぎゅっと抱きつかれて、男が苦笑する。
「本当にお前は……」
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