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第1話 Bランク
「それじゃあ、適合率診断書を出席順に配っていく。この結果で乗れる機体が決まると思っておけ。適合率は機体の操縦になれれば変わることもあるから、半年ごとに検診がある。今回適合率が低くても落ち込まないように」
担任の岩谷によってファイルに挟まれた用紙が配られていく。
分厚い用紙にグラフや図を駆使してびっしりと文字で埋め尽くされたそれは、俺に最下層から2番目……B判定であることを伝えていた。
スぺクタル搭乗者育成機関養成学校。日本3大都市にそれぞれ構えられた学校は、国の招集によって中学生時点の検診で適性があると判断された学生が強制的に招集される全寮制の高校だ。もし他の進路につきたくても、スぺクタル適性があると判断されたならば進路を諦めてこの学校に通わなければならない。それが国が決めたルールだからだ。
スぺクタルというのは、今現在世界中で使用されている遠隔操作ロボ兵器だ。操縦者 は脳波に関与するヘルメットを通じて戦闘ロボ“スぺクタル”と精神を直結させ戦闘機を操縦する。
このロボの何がそんなに強くて世界で使用されているのかというと、搭乗者(といっても実際にロボに乗るわけではなく、遠隔操作である)と精神を直結させることで本物の兵士のようにロボを操縦することができる。そして精神で司り自由に操縦できるということは、攻撃の威力がパイロットによっては伸びしろが無限大にあると言っては過言ではないというところにある。
充電や燃料を必要としないロボであるスぺクタルは、パイロットの精神によってスタミナが伸びたり縮んだりする。
攻撃にしろスタミナにしろパイロット依存の性能をしているから、資源や費用を大きく上回る兵力になり得る。だから先進国では軍事機関にスぺクタルを用いるのが今の時代、当たり前なのだ。
スぺクタルとの適合率は、最高値はSランク。パイロットとして使い物になる最低値はCランク。
俺は、Bランク。
全国から集められたパイロットの中でも、大多数を占めるレア度の低い人間だ。
「皆自分の適合率は確認したか?この学年では、Sランクは3人、Aランクは11人、B・Cは大量ってとこだ。うちのクラスにもSランクは1人、Aランクは3人いる。Sランクの奴から搭乗機を決められるから、他のクラスに先を越される前に早速機体見学に行くぞ」
岩谷の扇動によって校舎を出て、スぺクタルの管理倉庫へと移動する。
「Sランクの奴って……」
「あいつだろ」
「伊集院 綺羅 ……」
Sランクの奴から順に、性能も装備も充実している機体を選べる。
適合率が高い方がハイパフォーマンスを望めるので、当然ではあるが俺のようなBランクでは到底手に入らないような機体を選んでいる。
スぺクタルは精神と直結して操縦するので、敵からの攻撃を受けたときに精神が破壊される可能性がある。
攻撃を受けすぎると精神破壊に追い込まれ廃人になってしまうこともあるので、装備がしっかりしているSランク級の機体に乗れた方が身の安全も守りやすい。
攻撃力にしても、防御力にしても、適合率の高い奴には敵わない。しかし国の命令で招集されている以上、俺のようなBランクの一般兵でもスぺクタルには乗らなければいけないのだ。
「すげー!空飛ぶレーザービーム型の機体選んでるぜ」
「やっぱりSランクは違うな」
「空から俺らみたいな一般兵を一網打尽にできるんだろうな、あんな機体に乗れるってことは……」
クラス中、噂話が止まらない。
伊集院綺羅。
入学してすぐだというのに、自分の適合率を見てか、もうパイロットとしては自信満々なように見える。
俺もああだったら良かったのに……と羨望のまなざしを向けながら、俺も自分の機体を探すべくただひたすらに広く機体ずくしの倉庫を歩いて行く。
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