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第29話 運命
「抱きっ……まあ、俺はホロスだから……それくらいは、受け入れるけど……」
顔を赤くした亜純が、しどろもどろになる。
というか、抱かれる分には文句ないのか。景斗も瑞貴もやけに抵抗がないなとは思ったが、ホロスとはそういう生き物らしい。
「うーん……それが……実は俺の方に問題があって……」
「問題?」
俺がホロスたちの力を吸い取りすぎるという問題だ。
俺は、Bランクなのにも関わらず、SランクとBランクのホロスの力を一度に吸収できるほどの器を持っている。
これをうまく説明できるかといえば、難しいのだが。
「なんていうのか……ホロスの子が寝たり気絶しちゃうまで、力を吸いつくしちまうんだよ」
「うーん……寝れるなら、問題ないんじゃないか?」
「どういうことだ?」
「俺たちホロスは、寝たり食べたりすることによってホロスの力が回復する。もちろん普通に生活してても微量には回復していくけど……睡眠や食事はそれとは比にならないくらいのスピードで力が回復する。
俺達としても力がない状態で動き回るのはなんだか心地が悪いというか……俺はホロスの力を消費したことなんてまだ無いからわからないけど、とにかく力を消費してすぐに寝れるっていうのは、すごく心地良いってことだよ。気絶は、寝てる……のとはまた違うかもしれねえけど」
「そうだったのか……」
確かにここ最近、俺は淡先輩の力を借りずに実習の時は戦闘前も戦闘後も景斗と瑞貴から力を貰っている。戦闘前に空っぽになるほど力を吸いつくしているのに、戦闘後、起きてきた景斗と瑞貴はまた健気に俺に尽くしてくれる。あれは睡眠をとってホロスの力が多少回復したからできることなのだろう。
「聞きたいことがあるんだが」
亜純の一言に、俺は「なんでもどうぞ」と先を促す。
「その……お前は他の隊員とセッ……クスをしてると思うんだが、全員男なのか?」
「そうだよ」
「じゃ……俺で勃つか?」
「は?」
予想外の方向から飛んできた質問に、俺はきょとんとする。
亜純は顔を赤くしたまま、視線を彷徨わせている。
「その……俺、Cランクの上に、どこからどう見てもどこにでもいる普通の男だろ。可愛くも無ければ美人でもないし……俺相手に、勃たなかったら……」
「……それは」
どうなんだろうか。
亜純の言うように、美人や可愛い子が良いというのなら……俺の艦隊は、花園のようなもんだろう。文句のつけようもない美人の景斗、大きな目が日の光を反射する可愛い瑞貴、しなやかな体に男前な顔の淡先輩。平凡な亜純とはちょっと違うところはあるかもしれない。
「それに、美駒はいっぺんに複数のホロスとセックスするのか?」
彷徨わせていた視線が俺の視線を捕まえて、目が合う。
「あー……まあ」
「俺……俺は、Cランクのくせにこんなこと言うのは間違ってるってわかってる……けど、俺と一緒にいるときは、俺だけ見ててほしい」
「……」
ギュッと両掌を握り締めて、まっすぐに俺に告白するその姿に、胸がきゅんとなる。
「心配ないよ」
俺は俺より低い位置にあるその瞳を、じっと見つめた。
こんなに可愛い姿を見てしまったら、平凡な男相手にもときめくってもんだろう。
平凡だが亜純は、余りある愛嬌がその姿をより良く見せていると思う。
こんなホロスを相手に勃たないなんてことは……無い、と思う。
亜純を隊に入れると決断したのも、戦闘後の回復を亜純にお願いしようと考えたからだ。実習前に受け取る力は満タンでいたいので、景斗と瑞貴にお願いするとしても、実習後の俺の回復は亜純一人に任せれば、亜純の言うように、複数プレイにはならないだろう。
「そういえば、亜純。お前はなんで、相性診断なんか使ってパイロットを探そうと思ったんだ?」
湧いて出た疑問を亜純に投げかけると、亜純はちょっと面食らったような顔をしながら、「あ、ああ……それは」と質問に答えた。
「運命みたいだろ」
「運命?」
「適合率や能力値の相性……多分身体の相性も、抜群にいいぜ、俺達。そういう相手と出会えるんだってわかったら、つい診断を受けてたんだよ」
「相性……か」
これは、景斗や瑞貴、淡先輩には無いものだ。
勿論相性が悪いと感じたことは無いが、それとは別に相性のいい相手がいるのであろうことは、考えてみれば予想はつくことだった。
運命。
そんな大げさなものが本当にあるかはわからないが、俺達二人を引き合わせたのはきっと、運命なのだろう。
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