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まぬけな男娼を指名して一晩中×××した

 全財産スッた。  昨晩、媚薬販売で荒稼ぎした金を持ってカジノに出向いた。ギラギラとした照明がまるでおれ専用のスポットライトみたいで気が大きくなってた。金貨でパンパンの財布と期待を胸に抱いて、レッツ賭博とばかりにカジノの門を叩いた。  その数時間後にはパンパンだったはずの財布からは埃一つ出てこないほど搾り取られた。それだけだったらよかったけれど、門番に引き摺られて、蹴り出されての退場だったことから察してほしい――借金こしらえちゃった。  ね、何でだろ。そこまでするつもりなかったんだよ?  おれも立派な大人。酸いも甘いも噛み分けて呑み込むことができるお年頃。なのに、気がついたら負けが込んできて、次は勝てると思って全財産をベット。そこで小さな勝ちを得て、観衆に囃し立てられて良い気になって、金を借りて更に賭け続けてたら見事な債務者の出来上がりってわけ。 「来週までに五千万だ」  カジノオーナーの無慈悲な言葉に縋りついたけど無碍にもなかった。土下座もしたしクッサイ靴まで舐めたのに蹴り飛ばされただけだった。なんだよ、ケチ!と捨て台詞を吐いたことが相手の怒りを買った。 「我々が管理してる娼館がある。男でもいいっていうスキモノは多いからな。精々体で返してもらおう」  スキモノ?なにそれお吸い物?とふざけたら睨まれた。ギャグとかお嫌いなの? 人生には笑いが必要だよ?  その後も「薬売って稼いできますからぁ!」とか「あ、おれ大道芸やってたことあって! 見たいですよね、火の輪くぐりながらの紐なしバンジージャンプ! あ、やだ! 触んないで! 娼館はやだー!」ってクールかつビジネスライクに交渉したけど駄目だった。けち。  娼館の従業員とやらに引き渡されてドナドナで連れてこられたのは、カジノとは全く雰囲気の異なるギラギラピンクの建物だった。  いやー、淫靡だこと。  明かりがついている部屋が所々ある。その窓から中性的な雰囲気を持つ男たちが体をくねらせながら手を振っている。明かりがついていない部屋は使用中ってことなんだろう。ええー、おれあの中の一室に入れられるってことぉ?  好き勝手にやるのは好きだけど、人にやらされるのはなんかちょっと違うと言いますか、ぶっちゃけ萎えるというか。労働としてヤるのは、話が変わってくるんだよね。  持論を披露したところで首根っこを掴む力が緩むことはなかった。  あれよあれよという間に接客用の一室をあてがわれて、ほぼ下着みたいな格好に着替えさせられた。フリフリのリボンがついたショーツは尻側の紐を引っ張るだけで脱げるという仕様だった。上半身は当たり前みたいに裸。なるほどね、まぁ分かるけどね。そういうのが趣味のお客さんもいるだろうけど、着衣の良さを知らんとは素人だね。 「天使〜! 風邪ひいちゃうからシャツ取ってきて。悪魔でも良いよ」  ボフンという音を立てて天使が出てきた。おれの使い魔というか、同行者というか。精霊の一種らしいけど詳しいことは教えてくれないから分からない。天使は眉を吊り上げて開口一番「しんっじらんない!」と甲高い声を出した。  少し大きめの虫みたいなサイズの天使が頭の上を旋回しながら、 「どうしよう……こんなことになるなんて……!」  と狼狽えていた。 「なぁー。シャツ持ってきてくれた?」 「今それどころじゃないわ! ルイ、あなたってどうしてそうバカなの!? こんなことがあの人に知れたら私たち殺されちゃう!」 「命狙われてんの? 精霊殺せるのなんて一部の大魔法使いだけだから心配すんなって。で、シャツは? さっき取られちゃったから盗んできてほしいんだよね。この際、取ってきてくれるなら悪魔でもいいんだけど」  天使のほうがお願いを聞いてくれる率が高いから呼び出したけど、なんか取り込み中みたいだし。そう思って今度は悪魔を呼び出す。ボフン、と煙に包まれて黒い精霊が姿を現した。 「ねぇ、悪魔どうしよう! 私、分かるの。あの人がすごい勢いでこっちに来てる!」 「天使は本当にどうしたの? 思春期? 厨二病?」 「天使が情緒不安定になっちゃったのは、おまえがアホなせいだよ、ルイ」 「なぁんでそんな言い方すんの? ちょっとギャンブルで負けちゃっただけじゃん。むしろ傷ついてんのはおれのほうだよ? おれは誰彼構わず抱かれるわけじゃないの。相手は選びたいわけ。それなのにこんなヤリ部屋に突っ込まれてさぁ。金なら返すって言ってんのに」  ちゃんと返すつもりならある。でも五千万なんて持ってないから薬販売だけで返そうと思ったら一生かかっちゃうかもしれないし、おれってば忘れっぽいから三日後には覚えてないかもしれないけど。  ブーブーと文句を垂れてたら悪魔は爆笑してた。天使はまだパニック状態。服を盗んできてもらうのは悪魔に任せて、窓の外を眺める。別室の男娼みたいに客らしき人影に手を振ることはないけど、まぁ暇つぶしだ。  悪魔は数分でおれの荷物を全部取り返してきてくれた。 「ありがとぉ。さっすが悪魔くん!」 「さっさと服着て逃げるぞ。他の部屋の様子見てきたけど酷いぞ。ここ、NGなしの店らしい。どこもかしこもぐっちゃぐちゃのべっちょべちょ」 「人妻陵辱モノのエロ本みたいに?」 「人妻陵辱モノのエロ本みたいに」 「サイコーだな、それ」 「悪魔のバカバカ! その気にさせてどうすんのよ!」  ギャハハと笑いながら悪魔は飛び回る。それを追いかけてポカポカと叩いている天使。楽しそうだね、君たち。おれが貞操の危機に瀕してるっていうのに。  ぐっちゃぐちゃのべっちょべちょに犯されたいのは山々だけど、こういうところに来る客は貧相なモノしか持ってないだろうという偏見に基づいて逃げ出すことにした。こういうのはね、自分の足で地道に探してこそなんだよ。巨根探しの道は一日にしてならず。  窓から逃げ出そうと梁に足をかけたときだった。  精霊たちが「遅かった!」という言葉と共に姿を消す。  無情にも一人残されたおれは、なすすべもなく訪問者と相対することになった。 「さぁさぁ。こちらでございますよ、お客様。本当にタイミングが良かった。ご要望の程良くアホそうで見目が良く、笑うと可愛いけどケツがガバそうな新人がちょうど入ったんですよ。もうこの出会いは運命! なんつってね! ハハハ!」  この人いまおれのこと『アホ』って言ったんですけど。客に紹介するとき、そんな言い方することある? デリカシーってご存知?  さっきおれのことを上から下まで品定めして鼻で笑った娼館のオーナーが客を引き連れてやってきた。オーナー直々に接客とかするんだ。人手不足なんかな。  のんきに考えてたら笑顔のままのオーナーに首を掴まれてベッドに投げ入れられた。バタンと大きな音を立てて窓が閉まる。客に向けてた笑顔をおれには向けてくれないみたいで、顔を近付けてきたオーナーは一瞬のうちに真顔になった。 「逃げたら殺すぞクソガキ」  こっわー。  小声で脅迫されてヒンッと体が竦んだ。なんて恐ろしいことを言うんでしょ。治安が悪いったら。  殺されては困るのでメソメソしながら逃亡は一時断念した。見たところ相手は客一人らしい。なんでもアリの店だと悪魔が言ってたから3P、4P当たり前くらいの扱いを受けるかと思ってたけど、さすがにね。最初の客だし新人だもん。そんな無茶させないよね。  少しガッカリしながらオーナーがペコペコと頭を下げていた男を観察した。男はおれよりも頭二つ分くらい背が大きくて見上げるほどだった。服の上からでも筋肉質なのが分かる。  うん、いいね。悪くない。  年齢は三十歳くらいに見える。世間一般的にも美丈夫と呼ばれる部類の顔面で、少し下がり気味の優しげな目元が特徴的だった。  じっと見つめるおれを見つめ返して男は微笑んだ。 「こんばんは。今日入ったばっかりなんだってね。オーナーに聞いたよ」  低くて深みのある声が腰に効く。間違いない。こいつ、モテてきたヤツ特有の余裕がある。  オーナーはおれをギロリと睨みつけた後で、「ごゆっくりー」と猫撫で声を響かせつつ出ていった。  男はまず荷物を床に下ろし、ゆったりとした仕草でベッドに腰を下ろした。服も脱がずに座ってるだけ。 「おれが言うのも変だけどさ、シないの? 時間で料金変わるんでしょ」 「うん。そうなんだけどね。今ちょっと疲れちゃって」 「ふーん。若く見えるけど実はおっさんなの?」  てっきりここまでの階段を登るだけで息切れしてるんだと思って、つい悪戯心がむくむくと立ち上がってきてしまう。  よく見ると額に汗をかいていて、七階まで上がるのにそんなに疲れることある?と思いつつ、四つん這いでにじり寄った。 「おにーさん、何歳?」 「シモンだ。二十八歳」 「あ、二十代なん。三十超えてると思った」  シモンは息を整えるために溜息を吐いた。その姿がいかにも悩ましくて扇情的で、俄然やる気が出てくる。腕にしがみついて、しなだれかかる。  ようやく視線を向けてくるからチラリと見てから目を伏せた。 「慣れてそうだね。処女って本当?」 「んなわけねーじゃん。これまで結構な人数と寝たよ」 「ふーん」  適当な相槌と共に手を握られた。「はじめて手を握った相手は?」 「さぁ。覚えてない」  記憶に残しておくほど甘酸っぱい恋愛はしたことがない。でもこいつはこういう甘い雰囲気が好きみたいだった。  やっぱりモテる男っていうのはダメだな。やることなすことつまんねー。  最終的にヤることは一緒なんだから、さっさと突っ込んで気持ち良くなればいいのに。 「キスは?」と続けざまに聞かれて白目を剥きそうだった。 「それはおれ好きな人とするって決めてんの。だからおにーさんが最初だといいな」  分かってんよ。接客っていう騙し合いも、男心を擽るテクも理解してる。要はこの男を夢中にさせて時間いっぱい延長してもらって出来るだけチップをぶんどる。こいつのセックスはおっ始めるまでもなくクソつまんなさそうだけど、身なりは良いから金持ちなんだろう。身につけている衣服の仕立てからも金持ちオーラをビンビンに感じる。  チップで稼いで早めに借金返済してトンズラこく。こんなところに長くいてたまるか。 「俺が最初でいいのか?」 「うん。シモンがいい」  歯が浮くようなセリフだった。身体を擦り寄せてキスを迫る。ちゅ、と触れるだけの口付けに鳥肌が立った。もっとガッと来いよ、ガッと。童貞がよぉ。 「もっとエッチなのしたい。舌でちゅーってすんの」 「詳しいね。本当に初めて?」 「嘘だったらどうする? 怒る?」 「ハハ。そんなことじゃあ怒らないよ。ルイはバカだからね。言って聞かせても理解できないもんね」  穏やかに失礼なことを言われた。話してる間に息切れは落ち着いたようで、そういや何でコイツおれの名前知ってんの?と考えてる間に押し倒される。  部屋の灯りは完全には消せないみたいだった。豆電球一個だけが頭上で揺れている。シモンの表情が見えなくて怖い。  服の中に大きい手が入ってきて、肌の上を這い回った。背筋がゾワゾワした。 「何か話してよ。シーンとしてるのヤダ。耳キーンってする」 「そこまで静かじゃないだろ。四方八方から喘ぎ声が聞こえてくる。ここすごいね。丸聞こえだ」 「そーいうことじゃない。シモンの声が好きだから聞きたいの」 「そう? 俺もルイの声好き」  腹筋を撫でていた手が胸に辿り着いた。身体をくねらせて恥じらうフリをする。こういう甘々セックスが好きな男は、こういう仕草でイチコロなんすわ。  乳首を擦られて、わざとらしく喘いだ。指先で引っかかれて、涙目を作って見上げる。 「シモン。ちゅーは?」 「ああ。忘れてた」  唇が柔らかい。吐息がかかって気分が急上昇していく。やっとエロい雰囲気になってきた。舌でつつかれて薄く口を開ける。奥に引っ込めた舌先を捕まえて軽く歯を立てられる。その間も乳首をこすこすされるのが気持ち良くて段々本気になってくる。  足の間に割って入ってきたシモンの太腿に股間を擦りつけた。 「乳首すっげぇ気持ち良い」 「こっちにもキスしていい?」 「うん。いっぱいちゅっちゅってして」  シャツを捲り上げて胸に吸いつく男のつむじを見つめる。あ、反時計回りだ。めずらしー。 「あっ、やっ、乳首噛まないでっ」  強く噛まれてイキそうになった。別のことを考えてると的確にイイところを責めてくるから油断ならない。ざらざらとした舌で舐められ、唾液いっぱいに舐られると腰がカクカク動いてしまう。後ろがむずむずして早く挿れてほしくなる。下着の中が先走りでぐっしょりと濡れ始めていて少しの不快感と堪らない羞恥との間で心が揺れた。 「パンツ脱ぎたい……ぐしょぐしょになっちゃった」 「自分で脱いで見せて」  意外とハードなことを要求してくる。実は心にドエス飼ってるタイプなのかもしれない。おれそういうの大好き。  逃げるときに穿いたズボンを脱ぎ捨てる。じーっと見られてて恥ずかしい。頬が熱い。  下着までは変える時間がなかったから、例のエロいパンツのままだった。後ろに手を伸ばして紐の先を見つけたけれど、どこかで引っかかってるのか上手く解けない。 「シモン〜。引っ張って」 「どれ?」 「これ。……そう、それ。固結びになってんのかな」 「引っかかってるだけだよ。お尻こっち向けてごらん」  言われた通りに背を向けてペタンと座り込む。尻を突き出すと紐を外さずに手で包まれてビックリした。揉まれていると変な気分になってくる。焦らされんのなんて大嫌いなのにシモンから与えられる刺激の全てが気持ち良く感じる。  性器が布を押し上げて主張している。先端が触れているところだけ色が変わってる。エッロ。なにこれ。めちゃくちゃ視覚的にクる。 「早く取ってよぉ。もうちんちんブチ込まれたい」 「まだだよ。ちゃんと慣らさないと」 「指じゃヤダァ……ぁあっ、あッ、やだってばあっ」  布の隙間から指が侵入してきた。入り口あたりに触れていたそれが中に突き入れられる。  一本目から容赦なかった。充分に濡れていないソコを無理矢理押し広げられて虐められるのが大好きだから嬉しくなる。誰だよ、さっきつまんねーセックスするんだろうなって言ったヤツ。コイツ最高に分かってんじゃん。  ベッドに伏せてシーツを握りしめる。高く上げた腰を強く掴まれて、それだけでイッちゃいそうだった。 「ひもっ、取って。汚れちゃうからっ」 「着たままズラして入れていい? そっちのほうがエロい」  完全に理解してるわ、こいつ。そうだよ、そう。着衣セックスの醍醐味といえば、それ。布が張りつく不快感すらも楽しめなきゃ玄人とは言えない。モグリのセックス狂じゃあ、この良さは分かんない。  まぁ脱がしてほしい理由は、汚したら買い取りになるかもしれないっていう極めて現実的なもんだけど。 「させてくれたらチップ上乗せするよ。五万あげる」  んもう、はやく犯して。それなら話が変わってくるって。  返事をする前に答えは分かってたんだろう。いつの間にか先端が押しつけられていた。尻にぺちぺちと当てられて、おれはそれが入るようにケツを突き上げる。  シモンのちんこは今まで見た中で一番デカかった。 「ルイすごいね。入り口もうパクパクしてる」 「はやくっ、奥に欲しいっ!」 「いいよ。いっぱい中に出してあげる」 「あっ、きたぁ……シモンのちんちん、太くて好き……!」  ゆっくりと性器を突き入れられて爪先に力が入る。ずぶりと先端が入り込んできて、カリが入り口で引っかかる。一山越えるまでの間がもどかしくて小さく唸る。  竿まできたのに、すぐに引いていく。早く奥まで欲しい。訳分かんなくなるくらい犯されたい。  我慢できなくて自分から動いた。尻を叩きつけるとじゅぽじゅぽと水音が響く。 「や、やぁんっ! おっき、おっきくて気持ち良いよぉっ!」 「ルイ、声大きい。他の人に聞かれる」 「ん、んん〜〜〜っ!! 我慢できない……っ、むりぃ、イクッ、あっああぁ……っ」  精液を散らして達すると中がギュッとしまった。シモンが苦しそうにうめくから楽しくなってきてしまう。下っ腹に力を入れてシモンのちんちんをいじめると、ますます大きくなった。硬さも増して、反り返りが強くなる。それで奥を抉られたら狂っちゃうかもと思っているうちに仕返しとばかりに容赦なく突き入れられた。 「待ってぇ、またいくっ、イッちゃうからっ、やっ、アッ」  ゴツゴツと最奥を突き上げられては堪らない。足の根元を掴んで揺さぶられる。乱暴にパンツの紐を解かれ、性器の先端から糸ひく布を剥ぎ取られる。  浅いところを引っ掛けて弄ばれる。おれに言わせたいことがあるんでしょ。 「しもん、しもんっ」  簡単には言ってやんない。それでも名前を呼ばれるだけでもシモンは嬉しそうだった。律動が激しくなる。シモンが限界に近付いてきてるのが分かった。 「ルイ。イキそう。どこに出してほしいんだっけ?」 「おくっ、おれの腹ん中にっ、アッ、あっ、あぁっ」 「ほんと、かわいい。出すからね。腰逃すなよ」  命令されると、それだけで頭の中がいっぱいいっぱいになって、言うこと聞かなきゃって必死になる。シモンはおれの中で達してから、肉棒で掻き回してくる。より奥に奥に精子を塗り込んでおれの全部を自分のものにしようとしてるみたいだった。 「太腿まで精子垂れてんだけど。どんだけ溜まってたんだよ」 「セックスは一月ぶりかな。そのときはアホカワイイ子と青姦したんだよ。エロくてチョロくて最高だったな。洞窟の中だったから青姦とは言わないかもしれないけど」 「洞窟ぅ? そんなとこでヤるなんて信じらんねぇ。外でするとか不衛生じゃん」 「ルイはベッドの上が好き?」 「うん。次は向き合ってシよ」  首に腕を回すとシモンは考える仕草をする。 「そろそろ時間だからなぁ」 「じゃあ延長して。おれもっとシモンとしたい」 「でもなぁ」 「いいじゃん。シモンが延長してくれなかったら、この後きったねーオッサンとエッチなことしちゃうかもよ。いいの? オッサンにおれのこと取られて後悔しない?」 「するかもな。分かったよ。そんなに言うなら延長する」  よっしゃ。金蔓ゲット!  次も金持ちが客になるとは限らねーからな。効率良く稼ぐなら確実なほうを選んだほうがいい。なによりちんこがデカイ。形が誂えたようにおれの尻にジャストフィットする。金払いも良いし、ちんちんの具合も良い。ついでに顔も体型も声も好みときた。これを逃す手はない。  ウキウキでシモンに抱きついて「うれしいっ!」とリップサービスも欠かさない。それだけでグングンと股間に熱が再集結しているらしくて、ごりごりと腰骨に性器を押しつけられた。  自ら膝裏を持って足を広げてやる。やる気満々の性器を入り口に当てられて、期待で心臓が跳ねた。 「キスしながらしよ。ベロくっつけんの好き」  ぐーっとシモンのちんこが入ってくる。半分くらいのところまで来てから、おれの半開きの口の端に吸いついてきた。  舌を出して誘うと、すぐに唇で挟まれた。ちろちろと舌先を遊ばれて楽しくなってくる。  シモンの舌は熱くて、とろりと唾液を垂らされるとちゅうちゅうと吸いついて飲み下した。 「もっとぉ」  キスなのか、激しくなっていく腰の動きを催促したのか、自分でも分からなくなっていた。  気持ち良いことは全部もっとしてほしい。下生えがくっついてべちょべちょに濡れそぼるくらい、たくさん深いところを犯される。 「きもちいぃー……シモンのちんちんだいすき……」  うっとりしながら更に足を広く割り開いた。  これ以上ないくらい、誰にも犯されたことがないようなところまで暴かれて、脳みそがとろけそうだった。 「ん、ぁあっ、そこ、今ぐりぐりしたとこ、きもちいいっ!」 「どこ? ここ?」 「ぅん、あ、あ、いいっ、すっごく好きっ」  パンッパンッと叩きつける音が響く。身体に力が入らなくなっていく。快感でおかしくなりそう。足を持たれながら目を閉じて気持ち良さだけを追いかける。  だから他の奴が部屋に入ってきたことに気付くのが遅れた。 「どうした? 部屋まちがえた?」  明らかにおれに対するときとは声音が違うから驚いて目を開けた。ドアから覗く二人には当然見覚えがない。  それはシモンも同じだったみたいで、動くのはやめないまでも緩い突き上げに変わる。  それが不満で文句を言おうとしたら口を押さえられた。 「あの〜。さっきからこの部屋の声がすごくて、僕たち集中できなくて……」 「ああ、ごめん。控えるよ」  そう言いながら最奥に先端をぶつけてくる。声を我慢しろと言われても、こんなふうにヤられてできるわけがない。シモンの指を舌を出してベロベロと舐める。もう許してほしい。息が苦しい。声出したい。  二人きりの行為に没頭したいのに、覗きにきた無粋な同僚はまだ言いたいことがあるみたいだった。部屋に一歩踏み入れてくる。さすがにシモンが不快そうに眉を顰めたけど、こいつらも図太いのかモジモジとするだけで引く様子はなかった。 「そんな大きな声出ちゃうくらい、お客さんとするの気持ち良いのかなって思ってぇ、だからその……僕たちもご一緒してもいいですか?」  良いわけねーだろ!  思わず叫びそうになったけど口を塞がれているせいでできなかった。もごもごと訴えると、なぜかシモンはおれを見下ろしてフッと笑った。いや、笑い事じゃない。分かってる? 人数が増えれば増えるほどチップが分散するからね? おれが無事自由の身になる日が遠ざかるってこと。そんなの当然、看過できないでしょ。巨根探しの旅はおれのライフワークだよ? 人生を賭けたフィールドワーク。生き様を失った淫乱が行きつく先は一人寂しいセルフ処理と相場が決まってる。  そんなの絶対ヤダ。  理想の巨根を見つけてセフレになりたいし、せめてお別れのときには型を取ってディルドを作るって決めてっから。 「俺、気に入った子しか抱きたくないんだよね」 「ほふひった! ほれのけふはへんかひっひん!」 「ちょっと何言ってるか分かんないけど、ルイも4Pは嫌なんだって。俺も他人がいると集中できないから出ていってくれると嬉しい」  よく言った、おれのケツは天下一品って言ったんだよ。なんで分かんないの? おれ達ちんちんで通じ合った仲でしょ、文字通り。  察しの悪いやっちゃなと心の中で悪口を言ってるうちに乱入者たちはすごすごと引き下がった。ドアが閉じる音がする。  それなのにまだぱちゅぱちゅと優しく動くだけで、当の本人は何やら考え事をしてる。 「ははへまへ、はらないへほひひんはへほ」 「え、なに?」 「片手間でヤらないでほしいんだけど! 俺のほうに集中して。考え事なんてイッてからしろよ。どうせ下に血液いってて大した名案浮かばないんだからさぁ」 「ルイのこと考えてた」 「ハイ、嘘。そういうのいいから」 「ほんとほんと。何でこんなに声が大きくてエロいんだろって」 「一喘ぎごとにチップあげたくなった?」 「なった、なった」  本気か嘘か分からないテンションだった。機嫌は良いみたいだから今のうちに甘え倒すことにする。  シモンを押し倒して上に跨る。前後にスライドすると気持ち良さそうに呻くから嬉しくなる。  膝上で跳ねると自分のちんちんがシモンの腹にベチベチと当たった。それが嫌で掴んでたら、その上から手を重ねてくる。跳ねるのと同じリズムで上下に擦られた。 「も、だめぇ! こすこすヤダッ、やなのっ」  前の刺激でイキたくないのに絶妙な強さで握られて我慢できなかった。 「イクときは何て言うの?」 「う、うぅ、いく、いっちゃうっ、ぁ……あ、あっ」 「いっぱい出たね。えらい」  薄い色の精液がぴゅる、と溢れ出るところを見られた。  恥ずかしくて顔が真っ赤になる。やめてほしいのに、もっといじめてほしくもなってきて、シモンを睨んだ。 「シモンのせいで俺のちんちんが誤作動してる」 「通常の動作だから大丈夫。ルイっていつもそんなかんじだよ」 「おれのビッグマグナムはそんなハレンチな子じゃありません」  シモンはおかしそうに笑い声を上げた。 「じゃあ、後ろはどうかな。俺のせいでおかしくなってる?」 「分かんない。いっぱいいじめてくれたら分かるかも」  おねだりしながら抱きつく。背中に回された腕の力が強くて簡単には身動きできない。耳にシモンの荒い息がかかって、末端まで心地良い痺れが広がった。  突き上げられて悲鳴みたいな嬌声を上げる。ヤダヤダしててもシモンにはもっとしてほしいってことがバレてる。 「いく、いくっ」 「誰のちんぽで気持ち良くなってるか言って」 「しもんっ! シモンのおちんちん……っ!」 「何で気持ち良いの?」 「すき、すきだから、シモンがすきだからナカで感じちゃう、あッ、あッ」 「じゃあもう他の奴に抱かれちゃダメだよ。約束できる?」  頷いたら「いい子」って言いながら中出しされた。広がってく精液を一滴も逃さないように奥に引き込むようにうごめく。自分ではどうしようもできないうねりに身を任せる。精子を全部吸い尽くして満足するまで止まれない。  シモンのちんちんが面白いくらいに小さくなっていく。自然と抜けるまで抱き合ったままでいた。  なんとなく離れがたくて上に乗ったまま顔中にキスを落とす。シモンは緩んだ顔をしてた。  イキ過ぎたのか、うとうとし始める。少しの間、寝てたみたいで、ハッと目を覚ますと外が白み始めていた。シモンはおれの顔をずっと見てたらしい。腕枕をされてるせいで顔が近い。 「ごめん。寝てた。起こしてブチ犯してくれて良かったのに」 「今度はそうする」  あ、また来んのね。一人目でリピート客ができた。  どのくらいの頻度で来てくれんのかな。早く借金返済したいから、できれば毎日来てほしい。 「次はいつ来んの?」  あくびをしながら腕の中に潜りこむ。あったけー。人肌って安心する。 「もうここには来ないよ」 「……ん? 何で? おれ何か嫌なことした?」 「あ、違う。そういう意味じゃない。ルイの借金は俺が返しておいたから、もうここで働く必要ないってこと」 「ええー。太っ腹じゃん。シモンだぁいすき」  寝ぼけているおかげで何を言われてるか全く理解できていない。……今、借金全額返したって言った?  ぱちぱちと瞬きをして見上げる。顎しか見えない。  顔が見たくて、ずりずりと這い上がっていく。ついでのように頬にキスをするとむず痒そうにしていた。  いいな、こいつ。金もあるし、おれのこと好きみたいだし、反応もちょっとかわいい。セフレにしてやってもいいな。巨根だから、ゆくゆくは張型も作りたい。  ぼんやりと考えながら、あぐあぐと耳を噛んでたら急に押し倒された。 「もっかいすんの? いいよぉ、シモンならおれのこと全部好きにして。五千万の借りがあるからね。エッロいセックスたくさんしよ」 「そのお誘いは魅力的だけど、その前にやらなきゃいけないことがあるんだよね」 「なにすんの? 避妊?」 「『スー』、『ルー』。来い」  ボケたのに見事にスルーされた。いじけていると目の前にボフンと音を立てて『天使』と『悪魔』が現れた。 「お。おれのこと見捨てた天使ちゃんと悪魔くんじゃん。さっきぶり」 「べ、別に見捨てたわけじゃないわ。誤解よ」 「そうだぞ、ルイ。オレも天使も、おまえのことを助けるために全力を尽くしたけど、いかんせんおまえが鈍臭くて逃げ遅れたから、あえて置いていっただけだ」 「それを世間では見捨てたっていうんだよ。スー、ルー」  シモンがスーだのルーだのと天使と悪魔を呼ぶから混乱する。どっちがどっちのつもりで話しかけてんの? ていうか、スーとルーってなに?  二人にはおれがつけたハイパーハイセンスな名前があるんですけど。  二匹と巨根は、まるでおれがいないみたいに話を進めた。 「まったく、おまえたちにはガッカリだ。何のためにルイを任せてると思ってる。ルイはバカなんだから、スーとルーが止めてやらないと際限なく泥沼にはまってくばかりだろ。バカなんだから」 「でもそこのバカの頭のゆるさ加減は限度超えてると思うぜ。尻だけじゃなくて頭も軽くて、オレも天使も手を焼いてる」 「そうよ。ルイったら性欲と体力が無限過ぎて際限がないのよ。手に負えないわ」  何でおれディスられてんの。そこまでいうほどバカじゃないでしょ。 「いや、バカだよ」 「うん、バカ」 「相当バカよ」 「そんなにバカバカ連呼されたの初めて。傷つく」  プンスコしながら、そっぽを向いたけど誰もかまってくれなかった。つまらないので内緒話をする三人を尻目に身支度を整える。いいもんねぇー、借金もなくなったことだし、一人で先に出ていってやろ。  よく分からない液でグシャグシャに濡れたパンツはポイ捨てする。元々穿いていた下着と服を身につけて、差し足忍び足で出て行こうとする。  その後ろ姿にいち早く気がついたのは天使だった。 「シモン! バカが逃げそう!」 「はぁ!? バカって言ったほうがバカなんですぅー! てかバカバカ言うな、バカ!」  仲間外れにされて普通に寂しかった。シモンはまぁいいとして天使も悪魔とおれの仲良しじゃないのかよ。三人でおれだけ話に入れてくれないとか酷過ぎんだろ。  ジタバタと床を転げ回りながら駄々をこねる。三人の「あーあ」っていう視線は感じたけど構うものか。精々恐怖しろ。これがおまえたちが放置したバカの末路だ。目に焼きつけろ。  半ば意地になってワーワーと騒いでいたら、シモンが仕方なさそうに近寄ってきた。 「エーン。もう誰も信じない、エーン」 「そのヘタクソな嘘泣きをやめなさい」  うわ、キスされた。キスで黙らせようとするなんて、ろくな男じゃない。 「何でシモンは天使と悪魔のこと知ってんの? エーン」 「俺が二人のご主人様だからだよ」 「何でおれに二人をつけてたの? まさかストーカー?」 「そんなわけないだろ。俺は、ルイが心配だったの。何やらかすか分からないからね」 「初対面のはずなのに、何でシモンはおれのこと知ってんの」 「初対面じゃないよ。……恋人だったからだよ」 “忘却しろ!”  ボフンと間抜けな爆発音が響き渡る。  天使と悪魔が「あー、やった」「ひっでぇ」とヒソヒソと囁き合う声が聞こえた気がしたけど、意識が混濁していて上手く聞き取れない。  窓からは朝日が差していて、何で自分がここにいるのか思い出せないけど、早く逃げるべきだということは知っていた。  何で逃げなきゃいけないんだっけ。  それがどうしても思い出せなくて、誰かの余韻が残る部屋で一人、首を傾げた。

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