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第1話・イチ、はじめての恋 編
▽・w・▽つ〈ひとつめ〉
「なんでこんな簡単な数式もわからねぇんだよ!!」
ぼくを怒っているこの人は、ここ、1年B組のクラス委員を務めるクラスメイトの飯塚 くん。
「うう……ごめんなさい」
どうして怒られているのかっていうと、数学のテストの点数があまりにも悪いせいだ。
彼がぼくに勉強を教えるようになったきっかけは、数学担当の山川 先生――通称ヤマ先に3日後の数学の授業で行われる小テストまでに良い点を取るよう、見てくれと頼まれたからだ。
今の時刻は、オレンジ色が教室内を包んでいる下校時刻を過ぎた午後4時30分。
「泣いてもはじまらない。ここ、小テストの範囲内だからさ。ほら、頼むからさっさと解いてくれよ~。俺、ダチと一緒に今からバスケしようって約束してんだよ」
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