2 / 89

 委員長は短い黒の髪をわしゃわしゃと掻いて窓の方を見る。この教室から見下ろせば、そこはちょうどグラウンドになっている。  お外はとても楽しそうだ。  ぼくがいるこのギクシャクしたこの教室とは正反対の、明るい声がここまで聞こえてくる。 「……ごめんなさい」  ぼくは委員長の楽しみを奪っている。  全然ダメ。  ぼくって本当に何もできない奴なんだ。  自分を責めれば責める分、ぼくの目からは涙があふれてくる。  これじゃ、数式なんてまともに見れやしない。  だから余計に手が止まってしまう。 「おいおいおい、泣くなよ……もう」  そうしたら、委員長は落胆した、なが~い、ため息をつくんだ。  委員長をたくさん困らせてしまっている。 「ごめんなさい」  何回謝っても全然気分は優れない。  ぼくは肩をすぼめて唇を噛みしめる。

ともだちにシェアしよう!