8 / 89

 実はぼく、数学とか化学は苦手なんだけど、料理はかなり自信があるんだ。  今日、小テストの結果を聞きに放課後も会う約束してるし、金色くんにマフィンをあげよう。  よっし、感謝の気持ちを込めて美味しいの作ろう。  がんばるぞっ!! お~っ!!  そう決意した家庭科の授業が終わり、無事、見た目も味もいいマフィンを作り終えたぼくは、放課後になるのを心待ちにした。 「小テスト、どうだった?」  待ちに待った放課後、いつもと変わらないニコニコ笑う金色くん。 「うん、今までの中で一番いい点数だったよ、ありがとう」  ペコッ。  ぼくは感謝の気持ちを込めてお辞儀をした。 「それでね、あの、これ」  そうして金色くんの前にズイっと出したのは、今日の家庭科で作ったマフィンふたつが入った透明のビニール袋。 「え、気を遣わなくてもいいのに」  金色くんは眉根を寄せて、「そんなつもりで教えたんじゃない」ってそう言う。

ともだちにシェアしよう!