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実はぼく、数学とか化学は苦手なんだけど、料理はかなり自信があるんだ。
今日、小テストの結果を聞きに放課後も会う約束してるし、金色くんにマフィンをあげよう。
よっし、感謝の気持ちを込めて美味しいの作ろう。
がんばるぞっ!! お~っ!!
そう決意した家庭科の授業が終わり、無事、見た目も味もいいマフィンを作り終えたぼくは、放課後になるのを心待ちにした。
「小テスト、どうだった?」
待ちに待った放課後、いつもと変わらないニコニコ笑う金色くん。
「うん、今までの中で一番いい点数だったよ、ありがとう」
ペコッ。
ぼくは感謝の気持ちを込めてお辞儀をした。
「それでね、あの、これ」
そうして金色くんの前にズイっと出したのは、今日の家庭科で作ったマフィンふたつが入った透明のビニール袋。
「え、気を遣わなくてもいいのに」
金色くんは眉根を寄せて、「そんなつもりで教えたんじゃない」ってそう言う。
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