▽・ｗ・▽つ〈むっつめ〉 　みなさん、おはようございます。 　ぼく、千羽 一(ちわ いち)は、これといって誇れるものもないダメダメな奴です。 　――なのですが、ぼくにだって譲れないものはあります。 　それは、カッコよくてスポーツ万能。勉強ができる、ぼくの恋人。金色 奏(かないろ かなで)くんへの想いです。 　これは絶対誰にも負けない自信があります。 　そんなぼくは、大好きな金色くんと放課後に会って、誰もいない教室で一緒にお勉強をするのが日課でした。 『でした』って過去形なのは、最近違ってきたからなんです。 　どうして違ってきたのかといえば、それは――。 　ある人との出会いがきっかけでした。 『ある人』っていうのは、ぼくがいるこの学校の３年生、益岡透流(ますおか とおる)先輩です。 　益岡先輩は校内で一番モテる人で、とってもカッコいい人です。 　とは言っても、ぼくの中ではやっぱり金色くんが一番カッコいいと思うんだけど……。