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第ニ十一章:其の四:外伝 三章 ちびの場合
「ちびや、お前、そろそろ爪を切らないと危ないな。」
そう言われたあたちは、墓穴を掘ったかもって思ったの。だって、いつも爪切りはたかなしがしてくれてたのよ。おっさんにできるはずがないんだから。
もう!
早くたかなしを連れてきなさいよ!
おっさんには、あたちの爪を任せられないのよ!
あたちはたかなしを呼ぶために、さらに暴れてやった。それなのに、たかなしは来なかったの。
もしかして、あたちのこと、嫌いになったのかな。
もしかして、おっさんのこと嫌いになったのかな。
ねぇ、たかなし、あんたも、おかあさんみたいにいなくなるの?
あたちは暗い廊下でたかなしを探して何度も鳴いた。ここにいる? ここに隠れてる?
行けるところは全部探した。
でも、たかなしはいなかったの。
おっさん、意地を張ってないで、たかなしにちゃんと自分の気持ちを伝えなさいよ。
「ゆーじろー」って人はあんたの好きな人じゃないくせに。
あたちは誰よりも知っているのよ。
おっさんが、たかなしが来るときいつもそわそわして、嬉しそうにしていること。
人間にはどうして匂いが分からないのよ。
おっさんがたかなしといるとき、すごく嬉しそうな匂いがしているのに。
たかなしも、幸せそうな匂いをさせているのに。
どうして気が付かないのよ?
このままたかなしが来なくなったら、あたちはおっさんのおうちを壊してやるんだから、覚えてなさい。
でも、あたちがおうちを壊す前に、たかなしは帰ってきた。二人ともなんだかとっても幸せそうな匂いをさせていたから、あたちはその日、空気を読んであげたのよ。
二人でいつまでもお布団から出ないから、あたちは居間で大暴れしてやったのよ。
おっさんの大事にしている湯呑みも倒してやったし、座布団にも爪とぎしてやったんだから!
あたちを待たせるなんて、紳士としてあるまじきことではないなのよ?
二人が幸せそうだから我慢してあげたけどね。
でも、朝ごはんが遅れたことは許さないんだから!
──外伝三章 ちびの場合。
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