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第1話 プロローグ

 俺はゲイだ。  それもαの。  この世の中を何度恨んだかわからない。  男女の他に、α、β、Ωの性別があるわけだが、俺は数多い異性の誰一人に対しても性的に見るということができなかった。  最初は、俺は他のやつらと違って男女だとか、Ωだとかにうつつを抜かすような腑抜けた性格ではないから異性に興奮しないのだと思っていた。  しかし幼稚舎から大学まで付属している我が私立学園の中学に丁度上がった時だった。  体育の時間前に俺たちはそれぞれの性別に分かれて着替える。  そこで見た同じ性別――αの男たちの無防備な肌のなまめかしさは今でも覚えている。  中学に上がってようやく俺の頭が性を認識するまで追いついて、それでもって初めて他のやつらに抱いた劣情は同じαの、しかも男相手にだけだった。  なんだってこんなに性別が多種多様なこの世の中で、αで男というピンポイントな相手にだけにしか発情しない生き物に生まれてしまったのか自分でも腹が立って仕方がない。  俺はαだが、番になることができるはずのΩに対してうなじを噛みたいだとか、フェロモンを嗅ぎたいだとか言う欲求は一切湧かなかった。  同じαでも女相手ならいけるのではないかと接触を試みてみたが、女相手に性的欲求を感じることも無かった。  とどのつまり、ゲイなのである。ただのゲイである。  せっかく子種をばらまく性別の男に生まれたというのに、自分が自分の子孫を残せない生き物であったとわかったときの絶望は計り知れない。  せっかくΩと番えば優秀なαや庇護すべきΩを産んでもらえる上位種αに生まれたというのに、俺がΩと番うことは無い。  男としても、αとしても機能していない役立たず。  自分のことをそんな風に自虐してみたところで俺の性癖は変わらない。  そんな俺だが、高校に入って一気に俺のα性が開花した。  小学校……もっと言えば幼稚園の頃から俺は沢山のΩや女に囲まれて、モテる人生を送ってきた。  成績は一番ではないがトップ層。  スポーツも一番ではないが負ける姿は思い浮かばないと周囲に言われるほどだった。  中学以降は自分がゲイであることに周囲との間に引け目や壁を感じていた時期もあったが、小学校の頃などは完全にお山の大将だったと思う。  αの中でも優秀なα。  それが俺だった。  だから周りは俺を放っておかず、俺は興味を抱けないというのに今まで何人の人間にも誘われ、財閥の跡取りだとか、そういう輩にも婿入りしてほしいと沢山の縁談を持ち掛けられた。  α性が開花するということは、そんな俺のαとしての力がさらに強まったということだ。  優秀だった俺は更に優秀になった。  高校生になって、俺は俺のハーレムを手に入れた。  というのも、成績優秀な生徒の中から選ばれる生徒会の会長に俺は選ばれたのだった。  成績優秀な者といえば名が上がるのは上位種αばかり。そして、学園の中でも外の権力というのは作用するらしく、名家の跡取りとなる男ばかりが生徒会に所属することになっていた。  αの男。  俺のピンポイントかつ希少な恋愛対象しか生徒会には所属していないのだった。

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