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第2話
「会長、……なんかドアが、おかしいんですけど」
副会長である真木 が、生徒会室のドアをガチャガチャやりながら俺に聞く。
会計も書記も、庶務も、広報も教師の手伝いがあるだとか、出来た書類を生徒会顧問に提出しに行くだとかで出払っていた。
俺は勝手に業者に頼んでリモコン式のロックを追加したドアを、二人きりの密室になった途端にしめたとばかりに施錠していた。
普段は生徒会室の鍵は一番に来た者が生徒会室の壁にあるキーボックスに仕舞い、最後に出る物が戸締りをするという風になっている。
だから途中で皆抜けただけのこの状況でドアに鍵がかかっているのはおかしかった。
俺は真木と二人きりになった段階で、ドアをロックしていたのだが、書類に夢中だった真木は俺がドアにリモコンを向けて何かやっているのも気が付いていなかったらしい。
勿論ドアに鍵がかかっているなどとも思わず、ひたすらにドアをガチャガチャやっている。
「ねえ会長……って近っ。なんですか一体」
俺は真木の背後を取ってドアに引っ掛けている真木の手に自分の手を重ねた。
真木の、ゆるくウェーブがかった髪が小さく揺れ、端正な顔立ちが邪魔そうに俺を見た。
「……何の真似ですか?」
不快だったのか、真木がαの威嚇――グレアを俺に放出する。
しかし真木よりも、というかもう現時点ではこの学園では誰よりも強いαである俺に、真木のグレアは大して効かない。
俺は真木の威嚇を軽く流すと真木の肩を抱いた。
「だからなんですかって……」
「せっかく二人きりになれたんだし、いいだろ」
「何がですか?てか触んないでください」
ぺしっと俺の手を叩く真木。
「真木」
俺の呼ぶ声に、真木が少し高い俺の目を見上げる。
「言ったことが無かったんだが」
「はい、なんでしょう」
「俺は……男のαを犯したいと思ってる」
「は?」
一瞬きょとんとした彼は、俺の肩にかけている手をじっと見つめて――どっと冷や汗をかいたように、顔を白くした。
俺の腕を払いのけ、ドンっと突き飛ばされる。
勿論突き飛ばされたぐらいでどうにかなるほど俺は貧弱ではない。
というかこの学園で最も強いαが俺なのだから、特によろめいたりすることも無い。
「は?は?何言ってるんですか……急に。いや、ちょっと近寄らないでください。ちょっと待って事態がよく……寄るな!この変態!」
俺はドアを挟んで真木の逃げ道を無くすようにドアに両手をついた。
俺の両腕に顔を挟まれた真木は――所詮壁ドンをした俺の顔をじっと見つめながら、怯えたように視線を彷徨わせていた。
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