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第1話 会長と副会長のその後1

 会長と副会長が付き合いだした。  そのニュースは瞬く間に学園中を旋回した。  かくいう俺もその噂を聞いて驚いた人間の内の一人だ。生徒会長と副会長が付き合ったから驚いたのではない。αの男同士が付き合ったから驚いた。  噂の蔓延した学園内では、αの男同士で付き合ったって、今後番になれそうなΩと出会ったときどうするんだとか、副会長が会長に抱かれているに違いないから副会長はΩの真似事をしているのだとか、下世話な言葉が彼ら二人を取り巻いていた。  会長と副会長の恋愛は、なかなか上手くいかなかった。  この学園は全寮制なので外の世界に出かけるには外出許可がいる。  二人は外出許可を取ってデートに出かけたらしい。  しかし同じ日に偶然外出していてこれまた偶然会長と副会長のデート現場に居合わせた我が校の生徒の証言によれば、街中で発情期……ヒートを起こしたΩと二人が出会ってしまい、Ωのフェロモンに当てられた副会長はラット……強制発情状態に。会長はそんな状況でもヒートを起こしたΩを介抱し、救急車が来るまでそのΩのことを守っていたらしい。  その生徒の証言により、会長は一躍ヒーローのように学園内でも持ち上げられた。  ヒートを起こしたΩのフェロモンに抗いながらも、そのΩを守ってみせたと。並みのαの理性じゃあり得ないことだ。  その事件の後、会長の首元には歯形がいくつも付いていたのでラットになった副会長とはさぞかし盛り上がったのだろう。  同じ状況だった筈の会長は副会長を噛まなかったのか、副会長の首には傷一つついていなかったが。  しかし話はそれだけでは終わらなかった。  うちの学園の1年に、Ωが中途編入してきたらしい。なんでも今までΩ性が出現していなかったが先日急にΩであることが判明したから、中途編入となったらしい。  このΩが問題だった。  このΩ――転入生は、先日街で会長と副会長の目の前でヒートを引き起こしたΩだったのだ。  転入生は、自分の身を守ってくれた会長に惚れていた。  1年であるにも関わらず、2年である俺達――会長の元を直々に訪れて、告白したらしい。  会長は、副会長と付き合っているということを理由に告白を断ってしまったらしい。  それで終わりならどんなに良かったか。  俺――会計こと真城(ましろ) コウは、生徒会室のある特別棟を歩いていた。もちろん生徒会室に行くためだ。  特別棟は教師の担当教科の準備室であったり、部活動の産物や備品を物置のように詰めこむために使っている棟で、生徒会役員ぐらいしか毎日のように通っている生徒はいない。  歩いている途中で、違和感に気付く。  特別棟は人が少ない。  だが人の気配がする。  というのもαのフェロモンの匂いがする。  生徒会に所属する俺よりも強いαの匂いだ。そんな奴は数えるほどしかいないはずだが……。  そして甘ったるいΩのフェロモンの匂いもする。  これは――フェロモンがこんなにはっきり感じ取れるということは、αもΩも発情状態に違いない。  俺は先日ヒーローとなった会長のことを思い出していた。

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