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第1話
俺は多分、先輩にとって都合のいい奴、なんだと思う。恋人じゃないけれど、呼ばれれば先輩の元に駆けつけ、必要とあらばすることはする。
恋人面するわけじゃないし、余分なことは言わない、きっと誰より都合が良くて便利な人間だと思う。
先輩と俺は多分人種的には全くもって関わりのないタイプだと思う。俺はクラスでも目立つ方ではないし、人気者とかいうタイプでもない。
一方で、先輩は顔も体躯も良いことからモテるし人気者で、いわゆるウェイ系と言われるようなタイプだと思う。俺は多分というか確実に陰キャだ。
何をきっかけに先輩との交流が生まれたかというと、大した出来事があったわけではない。
ある日、自動販売機の前に先輩がいて、財布を忘れたらしくどうしたものかと悩んでいた先輩に、お金を貸したことが始まりだった。
別に大した金額じゃないし、返してもらえなくてもいいと思っていた。しかし先輩は律儀に俺の元へお金を返しにきて、そこから先輩との付き合いが始まった。
とは言っても最初から爛れたような付き合いがあったわけではなく、いたって普通の先輩と後輩の付き合いに過ぎなかった。
先輩のことは人として好きだったが、別に恋愛感情があったわけではない。そもそも人に対してあまり興味がないから、恋愛らしい恋愛をしたこともなくて、好きという感情に関してあまりよくわかっていなかった。
先輩は俺のことを気に入ってくれてたし、先輩の友達からも気に入られてた。同級生から少しだけ妬まれることもあったけど、みんなどうせ先輩もすぐに飽きるだろうと思っていたし、俺もそう思っていた。
先輩は昼休みだったり移動教室だったりのタイミングでわざわざ学年の違う俺の元へ会いに来た。
違う学年の人が会いに来ると言うことに最初は緊張したが、先輩が来る度に心が踊った。俺はとても単純なのだ。
いつ先輩は俺の存在に飽きるだろうか、という不安は常に付きまとっていた。そろそろ先輩も俺に飽きるかな、なんて思っていた頃にそれは起こったのだった。
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