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第4話

放課後、先輩に連れられるがまま、気が付くと先輩の家にいた。 何の変哲もないマンションの一室で、シンプルだけどオシャレに飾られた部屋はなんとも先輩らしかった。 先輩の寝室に入ると、あれよあれよという間に先輩に食われていた。抱いたのは俺なのだから、俺が食ったという方が正しいのだろうけど、俺があまりに主導権を握れていなかったので、食われた、が正しいと思う。 まともな恋愛経験がない俺はもちろん童貞なわけで、先輩との行為はすごかった、の一言に尽きると思う。 多分今後の人生でこれ以上の経験って出来ないんじゃないかなって思ったりした。 一通りの行為を終えて、先輩に腕枕されながら話をした。こういうのって抱いた側がするんじゃないのか?なんて思いながら。 先輩が行為についての感想を俺に聞いてきた。 「なんか、さすが経験豊富な先輩って感じでした」 「開口一番がそれなわけ?なんか俺が最低なやつみたいじゃん」 先輩は少しだけ寂しそうな顔をして言った。なんであんたが寂しそうな顔をするんだ、と素朴な疑問を抱いた。 「いや、付き合ってない後輩誘う時点で最低なことに変わりないでしょ」 思わず思っていたことをそのまま言ってしまった。流石に傷付けただろうか?とも思ったけれど、先輩は、ははと笑いあまり気にしている様子ではなかった。 「確かにそうかも。そんで、どうだった?」 「どうって言われても初めてなので比較対象とかいないし、よかったです、としか言いようがないですよ」 「そっか、んで、気持ち悪くなかった?」 「気持ち悪かったら勃たないですって、俺こう見えてデリケートだし」 気持ち悪さなど、微塵も感じなかった。それどころか、先輩のいつもと違う表情を見て、酷く興奮してしてしまったくらいだ。 先輩のことそんな目で見れるんだ、と自分に少し驚いてしまったくらいだ。でもそれくらい先輩は魅力的だったのだ。 「そりゃそっか、あのさ、」 「はい?」 また、先輩の目が泳ぐ。先輩って普段は飄々としてるくせに、言いにくいことがあるとそわそわする、そんなところが可愛いと思う。 「これからも誘っていい?」 「誘うって、こういうことにですか?」 「そう、俺が呼んだらいつでも来てくれる?」 そう言った先輩の瞳は不安に揺れていて、普段の先輩からどうすればこんな表情が想像できようか。どんどん、知らなかった先輩が増えていく。 「まぁ、いっすよ。別に恋人もいないし。でも俺の都合もあるんで、いつでもとは言い切れないっすけど」 「らっきー」 俺の答えに先輩は嬉しそうな表情をした。嬉しそう、というより安堵というのだろうか。俺が断らなかったからだろうか。
 「俺のこと便利な棒だと思ったりしないでくださいよ、俺ちゃんとナイーブなんで」 「そんなこと思わねーよ、でもお前が俺のこと拒否しないでくれて、俺は嬉しーよ」 「まぁ、別に拒否する要素もなかったですし」 「お前って本当に何においても無頓着なのな」 「そうですか?」 まぁ確かにそうなのかもしれない。基本的に他人に興味はないし、もしかすると自分自身にも興味がないのかもしれない。 でも特段それで困ったことはなかったし、それでいいと思っている。 「そうだよ、だってお前、俺がなんでお前のこと誘ったかわかってねーじゃん」 「え、なんか理由があるんすか?」 「ほら、そういうとこ」 そういうと先輩は笑いながら、俺の鼻を摘んだ。先輩が俺のことを選んだ理由?最近のお気に入りだから?としか思えなかった。 「教えてくださいよ」 「やーだよ、これから精々ゆっくり考えな」 「ケチ」 「うるせー」 先輩はイタズラっぽく笑いながら答えを教えてはくれなかった。この答えを見つけるまでの間、先輩は俺の隣にいてくれるのだろうか。 先輩がもし、俺がこの答えを見つけるまで側にいてくれるというのなら、俺はなるべくゆっくり答えを探したいと思った。

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