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名前のないまま。

俺、向田洋二と金井和真はよく一緒にいる。和真とは高校に入ってから出会った。出席番号が近いとかそういう理由でもなく、たまたま同じクラスになり、和真の方から俺に話しかけてきて、仲良くなった。 高校に入ってから出会い、今ようやく高校一年生が終わろうとしているところなので、和真と出会ってからはまだ一年も経っていない。 それでもこの一年、一番仲良くなった相手と言っても過言ではない。和真にとっても俺がそういう存在であれば嬉しいと思っている。 和真と俺は、休み時間に喋ったり、一緒に昼食を食べ、一緒に帰ったり、そういう普通のことを共にして、特別な約束をすることはなかった。 でも周囲からは「で、結局どういう関係なの?」と聞かれた。ニヤニヤと俺と和真の関係を疑うような眼差しで、質問を投げかけてきた。 俺はそれを曖昧に笑ってやり過ごしていた。 実際のところ、自分でもよくわかっていないのだ。関係とは、なんなのだろうか?名前をつける必要があるのだろうか。 でも多分、名前があった方がいいんだと思う。俺は心の中だけで、不安を育てているからだ。 恋人なら、終わるときに理由を聞ける。友達なら、距離が空いても説明が着く。でもこの関係は、相手がいなくなっても文句を言えない位置にある。 名前がない分、終わりにも名前がない。 (これって一体なんて感情で、なんて名前の関係なんだろうか) ある日、いつも通り待ち合わせするでもなく、なんとなく合流して二人で帰る。俺と和真は最寄りこそ違うものの、駅までの道のりは一緒だった。 いつも通りの帰り道、いつもと同じはずなのに、俺はどこか緊張していた。 俺は思い切って和真に聞いてみた。 「俺らの関係って、なんなんだろうね」 少しだけ、声が震えた。それが和真にバレていたのかはわからないけど。和真はきょとんとした顔で俺を見ていた。 「なんでもいいんじゃない?」 和真は少し考えてから、笑いながらそう言った。 その答えも、声も、顔も、全部優しいのに、俺は安心よりも先に、怖さを感じてしまった。 和真と別れて一人、考える。そして俺ははたと気が付いた。 俺は、関係に名前がないから怖いのではなく、終わりがきたとき、悲しんでいい資格があるのかわからないことが怖いのだと。 それでも俺は、今この時間が確かに存在していることだけを選ぶ。 名前はないまま、終わりの時間もわからないまま、俺たちの関係は今日も続いている。  ---------- 金井和真(攻め) × 向田洋二(受け) 付き合ってないけど、付き合うとしたら受け攻めこんな感じ、かなと。

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