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なんでもないなんて日。

今日は休日だった。平日だが、この前休日出勤をした際の代休を取っていたのだ。 今日こそ溜め込んでいたあれやこれやとこなして、充実した休日にしてやろうと意気込んでいた。 しかし、仕事の疲れが溜まっていたのか、起きた時点ですでに午前は終了していた。起きた時点ではまだ午後の1時だったので、この時点ではまだ挽回が可能だと思った。 とりあえず起き上がり、朝飯兼昼飯、オシャレな言い方をすればブランチなるものを摂った。 食べ終わった後にすぐ片付け始めればいいものを、ダラダラとスマホを眺めながら時間ばかりが過ぎていった。 ようやっと片付けをし、今日こそ資格の勉強をするぞ!と意気込み、テキストを机の上に広げた。 テキストを目の前にしながらまたスマホを眺める。あと5分、なんて思いながらまた時間だけが過ぎていく。 (あぁ、今日こそ色々やろうと思ったのに、びっくりするほど何も出来なかったな) 気がつくと、18時前になっており、今日も何もしなかった、という後悔が押し寄せた。 休みの度に結局何も出来なくて、毎回これくらいの時間になると後悔になって押し寄せてきた。 今日はこれが出来たはずなのにな〜と思いながら、何もせず時間だけが過ぎていった時だった。 ブブ、とスマホが震えた。あいつからの連絡だった。 『今ヒマ?ヒマなら会おうぜ』 あいつからの連絡はいつも突然で、基本的に俺から連絡をすることはなかった。 あいつから誘われて、俺はいつも了承するだけ。俺と会って何が楽しいんだろうと思いつつ、俺はあいつと会うのが楽しかった。 俺は特に趣味もないようなどこにでもいる会社員で、あいつは趣味をいっぱい持ってるような俺とは正反対な存在だった。 『いいよ、会お』 会おう、と誘われたものの、特段何かをするわけじゃなかった。夜道を少し歩いて、少し話す。 閑静な住宅街を歩いて何が楽しいのかと言われると困るけど、あいつと二人でただなんとなく過ごすのが楽しかったのだ。 会話が途切れて、なんとなくポツリと漏らす。 「今日は、なんもしなかったなー」 「今日休みだったん?」 「代休。なんか、何もしなかった日は失敗した気がする」 「それを失敗って決める必要ある?」 慰めでもない、こいつらしい明るい言葉だった。 「別になんもしなくてもいいじゃん、それってきっと疲れてたってことかもだし、休みを求めてたのかもじゃん」 「確かに、休みたかったのかもしんない」 「無駄とか失敗とか考えなくていいんじゃない?何もしなくたって一日は一日だって」 あっけらかんと言うこいつに、また救われてしまった。俺は多分こいつのこういうところに救われているのだ。 「よし、今日はさんきゅな!また連絡するわ」 「おう」 「たまには、お前から連絡しろよ」 「えー面倒くさい」 いっつも俺から連絡してんじゃん、そう笑いながら言った。きっと多分、またこいつから連絡してくるんだろうな、なんて思いながら。 「あ、そうだ、今日は俺と一緒に歩いた、それでいいじゃん」 またな、と言いながら笑顔を手を振りながらあいつは去って行った。 俺もあいつのことを見届けて帰路に着く。 家に帰ってふと気がついた。 今日何かを成し遂げたわけじゃないけど、この一日は失敗じゃなかった、と思えていた。 (あいつには、感謝しないとな、なんて)

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