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第60話 光。

 キングサイズのベッドに身体を横たえながら、満月は美月の手を取り、形の良い指先に口付けを落とした。 「……おまえは本当にキザな奴だ」  その美月の言葉には嫌味などの悪い要素が含まれていなかったので、満月ははにかんでみせた。 「そんな俺も好きでいてくれるんですよね?」  美月は微笑みながら、満月の指に絡ませて握る。 「俺はおまえに一目惚れしたんだ。満月」  嘘をついているように見えない美月は真剣な表情で満月を見る。 「俺は学生の頃に神聖な弓道を汚した。だから俺は二度と弓道には関わらないと誓った。それなのに俺は弓道着姿で歩く満月を見付けて、驚いた。……おまえに俺にはない『光』を持ってると、直感した」  はじめは直感だった。  そのときに何故か満月の弓道着姿が、周囲の風景から浮き上がるように見えたのだ。  満月を引き取り徐々に知っていくうちに、次第にその『光』に確信に変わった。 「俺も美月さんの中に『光』を感じます。あなたは眩しくて、とてもキラキラ輝いています」  満月も美月に特別な『光』を感じていた。  美月の取り巻く環境は暗闇に近いのに、この人は何故眩しいんだろう、満月は不思議に思った。  けれどその不思議は直ぐに知ることになった、この人はまわりの暗闇を逆手に取り、自らを輝かせているのだと感じた。 「美月さんが輝いてくれるのなら、笑ってくれるなら、俺はどんなことでもできます」  確かに今なら満月は美月のためならなんでもしてしまうだろう、そんな予感がする。 「……汗、流さなきゃですよね」  満月はボソリと呟く。  彼にはまだ余力があるらしく起き上がると、再度美月を抱きかかえる。 「ぅわ!!……もう、ちゃんと歩くから下ろせって」  今度はちゃんとお姫様抱っこをして、美月と一緒に寝室の隣、風呂場に直行する。  バスタブに美月を下ろすとシャワーから湯を出す。  ちょうどいい湯加減に調節したシャワーを美月の身体に少しずつかけてゆく。 「美月さん、湯加減どうですか?」 「ちょうどいいけど。……至れり尽くせりだな」  ずっと甘やかしモードに入ってしまった満月に不満を言いたかった美月だが、今は彼がしたいようにさせてやることにした。  美月の身体と髪を丁寧に洗い、タオルで拭いて、そして脱衣場で髪を乾かしはじめた。 「満月、おまえは風呂どうするんだよ」 「美月さんを寝室に送り届けてから入ります」  はじめてここの部屋に来たとき、風呂場と寝室の壁がガラス張りだったことを知った満月は、美月の入浴シーンと自慰行為の音と声だけで、あんなに身を固くしていたのに、彼は成長したなと思った。  美月をバスローブに着替えさせ、寝室のベッドにお姫様抱っこで送り届けた。  それから満月は自分の身体を洗って、ドライヤーで髪を乾かし、バスローブに身をつつみ、ベッドにいる美月の隣に身体を横たえた。  美月は満月に擦り寄ると、彼の暖かい体温を感じた。  耳元を胸板につけると、トクン、トクンと鼓動が脈打つ音が聞こえ、美月は安心したように目を閉じた。 「……美月さん、おやすみなさい」 「……うん、おやすみ」  微睡む美月の表情は幼く、まるで少年のようだった。  満月は美月を守るように抱きしめて、そして目を閉じた。

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