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第61話 家族会議。

 翌日美月と満月は北白川組本邸に呼びつけられた。 「何故昨日儂の呼び出しに来なかったのだ、美月」  上座には美剣、その向かって正面に美月が座っていた。 「ようやく日向 太陽をの縁が切れ別れを告げたといのに、むざむざ俺が会長に会いに行くと思ってるんですか?」  きっと美剣は美月の前で太陽に解雇宣言でもするのだろう、そして満月が育った恩を着せる気なのだとわかっていた。  わかっていたからこそ会長(ミツルギ)の奥方静の申し出に甘えたのだ。 「全く……、美月はとんだ狐よのう」 「ええ、俺は北白川組の『女狐』と呼ばれているようですし、ぴったりです」  美月は『ハハハ』と笑ってみせた。  後ろで控えていた満月は『あんなに怯えていたのに、普段通りの美月さんに戻ってよかった』、と。 「さて、本題に戻るが。……美月、儂は短くて年内、長くて数年で死ぬ」  『悪狸が何を冗談言っているんだ』、と、美月は思いながら、この部屋の面子の様子を覗った。 「俺よりも長生きしそうな会長が、変な冗談を……」  美月のその返事に、その場にいた町屋ですら口を挟まなかった。  この場にいる面子を見ると、北白川組の中枢を支える者たちばかりだった。  その全員が真剣な眼差しだった。 「儂は悪性リンパ腫を患っている。だが年のせいで進行が遅いらしい、すぐ死ぬわけではないだろう」 「……」  想定していた範囲を超えた美剣からの話に美月は絶句した。 「だからお前に過酷過ぎる試練のようなものを課した、……儂の心残りは美月だけだ」  何故美剣は美月のトラウマさえも克服させようとしているのだろうと思ったら、後ろ盾の肉親からの愛の教育だったのだ。  美月の顔から、すうっと血の気が引いていく。 「冗談……、じゃないのか?」 「儂が冗談など言わんことを、美月お前が一番知っているだろう。まぁ八十過ぎまで生きたしな、寿命じゃ寿命」  美月の言葉が詰まると、美剣は長い髭をいじりながら言葉を続けた。 「本当なら真の家族だけで話す内容だ、しかし儂の家族はこの組だ。だいぶ大きいものになってしまった。それでも美月、跡目はお前に継いでほしい」  美月は何も言えず、ただ沈黙を貫いた。

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