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第62話 増えた使命。

「美月さん、大丈夫ですか?」  フライングスパー車内で二人きりになってから満月は美月の様子を覗った。  その美月は片手で顔半分を隠して、そして数十秒後に正面を向いた。 「……ん、ダイジョーブ」  北白川 美剣は厳しい祖父だった、それは今後も変わらないだろう。  それでも美剣にも優しい一面があったことを思い出し、懐かしんだ。  それから美月は運転している満月に聞いた。 「満月にとって会長(ジジイ)はどんな様子に見える?」 「とてもいいお祖父さんだと思います」  満月は思った、美剣は美月と(カゾク)を思って過酷な試練を用意したのだろうと。  もしかしたら前組長大樹のことも美剣が仕組んだ試練だったのではないか、とも感じた。 「俺の祖父だと思って美化し過ぎなんじゃないか?」  フッと普段通りの微笑みを浮かべた。 「まぁ、なんにせよ八十過ぎまで生きてるジジイだし、いつポックリ逝ってもおかしくはない年齢だ」  『死ぬのは神様が決めた順番通り、その運命を決めるのも神様の順番だ、美月』、実父の美雅(ミヤビ)が死んだときに、美剣が言っていたことを思い出した。  年齢の順では美剣が美月達よりも逝くのが早いことは理解していたし、仕方のないことだ。 「満月、おまえは俺よりも先に死ぬなよ?」  美月の胸の内を見抜いたわけではないのに、満月は真剣な声色で言った。 「はい。老衰の美月さんを看取る約束も俺の使命に入れておきます。死が俺たちを分かつまで、俺は美月さんの傍にいます」  その言葉を聞いて安心した美月は、満月の運転でビル街を通り抜けていった。 『愛の暴力。ーkarmaー』 完 63話から短編を数話お付き合いいただけましたら幸いです。

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