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第1話

 それはごく普通の、いつも通りの朝だった。 「アクセル、そろそろ起きなさい」 「……ん……?」  兄に軽く身体を揺すられ、ぼんやりと目を開ける。  既に外は明るくなっており、視界の左端に兄の顔が見えた。  ――あれ? もう朝なのか……。  目を擦りつつ、身体を起こす。  ちょっと寝過ぎたみたいだ。今何時だろう、七時くらいか……?  そう思って時間を確認したのだが、 「……え?」  どういうわけか、朝九時を過ぎていた。一瞬、見間違いかと思った。 「えええ!? 俺、こんなに寝てたのか!?」 「そうだね。全然起きてこないから具合でも悪いのかと思ったよ」 「いや、具合は悪くないんだが……」  普段アクセルは、朝六時くらいに起きて軽くランニング&ストレッチしてから朝食をとる。特別なことがない限り寝坊することはほぼなく、兄より遅く起きるのも珍しい方だ。  昨日は普通に寝たはずなのに、何で起きられなかったんだろう。変だな。  納得できないでいると、兄はにこりと微笑んで言った。 「まあ、たまには寝坊することもあるさ。ほら、顔を洗って着替えておいで。朝食できてるからね」 「あ、ああ……」  アクセルは急いでベッドから下り、洗面所に駆け込んで顔を洗った。冷たい水をバシャバシャかけ、ぼんやりした目を覚ます。  ――今日は兄上と市場に行く予定だったのにな……。時間を無駄にした気分だ。  まあ買いたかったのは鍛錬用のジャージなので、食材と違って売り切れることはほぼない。  とはいえ、寝坊すればするほど兄と出掛けられる時間が減ってしまうから、そういう意味では自分の気の緩みを嘆くばかりだ。  こんなことなら、目覚ましくらいかけておくべきだったな……。 「はい、目覚めの一杯。いつもより苦めにしておいたよ」  着替えてリビングに行ったら、兄が熱々のコーヒーをマグカップに注いでくれた。  アクセルは自分の席につき、並べられている朝食を見つめた。  ――う……相変わらずなかなかの量だ……。  トースト二枚に、目玉焼き二個と分厚いベーコン。コーンスープにサラダ、フルーツをトッピングしたヨーグルト……等々、栄養たっぷりだ。  大食いの兄にはこれでも並みの量だが、アクセルにとってはやや多すぎる気もする。  まあでも、せっかく作ってくれたんだから、ありがたくいただこう。もし食べきれなかったら昼に回せばいい。兄もこちらの胃袋の容量はわかっているはずだし。

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