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第120話

 翌朝、アクセルはいつもと同じく自然に目を覚ました。  しばらくボーッとしていたが、意識がハッキリしていくのと同時に昨夜のことを思い出していく。  ――し、しまった! 俺、お仕置き中に気を失ってそのまま……!  慌ててベッドから降り、リビングに駆け込む。  兄・フレインはいつもと変わらず朝食の準備をしているところだった。 「おや、おはよう。もっと寝てるかと思ったよ」 「あ、あの、兄上……俺……」 「とりあえず顔洗って着替えておいで。それからご飯にしよう」 「は、はい……」  言われるがまま、洗面所に駆け込んで顔を洗って普段着に着替える。  急いでリビングに戻ったら、兄が淹れたてのコーヒーをマグカップに注いでいた。  朝食のメニューも、既にテーブルに並べられている。厚切りトーストにベーコンエッグ。朝食としてはお決まりの内容だ。 「さて、じゃあ食べようか。いただきます」 「い、いただきます……」  焼きたてのトーストにバターを塗って齧りつつ、チラリと兄の様子を見る。  兄の言動は本当にいつもと同じで、これといった違和感はなかった。 「兄上……昨日は、その……」 「うん?」 「ええと、なんというか……とにかく、すまなかった」 「ええ? 何いきなり謝ってるの? 変な子だねぇ」 「だって俺、兄上にいろいろ悪いことしちゃったし……」 「もう、いつまでもそんなこと気にしないの。お仕置きも済んでるし、昨日までのことはおしまいだよ」 「え……」 「そんなことよりお前、今日は非番でしょ? せっかくだからどこか遊びに行かない?」  そう言われ、アクセルはぱあっと顔を輝かせた。  兄の方から誘ってくれるとは思わず、大きく頷いて答える。 「行く! 実は久しぶりに兄上と狩りをしたいなと思ってたんだ」 「狩りか、いいね。じゃあ今夜は狩った獲物ですき焼きかな。頑張って大物を狩らなきゃ」  嬉しくなって、急いで朝食を平らげた。  使った皿もササッと洗い、狩りの武器をしっかり整えて装備する。一応今日は弓矢も用意してみた。 「あれ、お前弓矢なんて使うの?」  兄が少しからかうように聞いてくる。 「お前、的当ては苦手なんだと思ってたよ」 「と、得意ではないけど大きな獲物にはちゃんと当てられるよ。威嚇や足止めには使えるだろ」 「どうかなぁ。私はそんなのなくても、いつもの太刀一振りで十分だけどね」 「くっ……そりゃあ俺は兄上ほどの熟練者じゃないけどな。いつか兄上に追い付いてみせるから、見てろよ」  そう意気込み、鼻息を荒くして家を出る。  そんなアクセルを、兄は微笑みながら眺めていた。                         【「治療の果てにあるものは」完】

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