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プロローグ
──ドクン、ドクン。
まるで男の欲求を誘うかのような恐ろしく甘い香りに目眩がする。
──ドクン、ドクン。
あいつの肌が舌に触れた瞬間、全身が蕩け落ちてしまうような甘さに脳みそが侵される。
──ドクン、ドクン。
自分の鼓動の音がうるさ過ぎて周りの音などまるで聞こえない。
蒼太のことを見下ろしている目の前の男は、まるでこちらを軽蔑しているような視線でそのすっと切れ長な瞳を細めている。そんな視線でさえゾクッとしてしまうほど、蒼太は目の前の男に興奮していた。
──おかしい、なんで俺は藍に対してこんな感情を抱いているんだ…。絶対におかしい、おかしいと分かっているはずなのに…なんで藍から目が離せないんだ。
「マジでキモい」
冷たく言い放たれたその言葉は、藍が蒼太に対して抱いている嫌悪の気持ちが込められているようだった。それでも蒼太の興奮は収まらない、ドクン、ドクンと激しく音を立てている鼓動も収まることはなかった。
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