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第1話 回想 攻め視点
幼い日の記憶。
俺たちが小学4年生になり、バース性の判定が出た後のホームパーティーでの出来事だったと思う。
俺と佑 は、互いに父が経営者同士で仲が良く、定期的に家族ぐるみでホームパーティをしたり旅行に行ったりしていた。
同い年の子供(俺と佑)がいたから、なおさら付き合いが深かった。
バース性の検査結果は、俺がαで佑がΩだった。
佑の母親は微妙そうな顔をしていたけれど、俺の母親が「彰人と佑くんが結婚したら素敵!!」とはしゃいだ。
それを聞いた父親たちや佑の母は、「それすごくいい!」と賛同し、大人たちは盛り上がった。
かくいう俺も、佑のことが好きだったので内心喜んでいた。
佑が、ずっと俺の隣にいる姿を想像して胸をときめかせていた。
その盛り上がりを制したのは佑だった。
「やめろよ!!!」
普段、容姿はΩっぽいけれど言動はやんちゃでムードメーカーの佑が声を荒げた。
彼が怒ることなんてめったにない。
場は水を打ったように静まり返った。
「た、佑?」と佑の母が心配そうに声を掛ける。
「今時、政略結婚なんて変だよ!
俺も彰人も、結構んする相手くらい自分で見つけるし!
おかしいよ!
そうだよな、彰人」
同意してくれ、と懇願するような顔で見上げられ、俺の心臓は止まりかけた。
喜んでいた自分を恥じた。
佑の気持ちを考えていなかった。
佑の初恋は幼稚園の女の先生で、一番最後に聞いた好きな子も女の子だった。
バース性がなんであれ、女の子が好きな人に男を好きになれなんて酷だ。
俺はひりつく喉を抑えつつ、「うん、そうだね」と答えた。
それから、俺はなんとか他の子を好きになろうと努力した。
でも、どれだけ佑を意識の外へ追いやろうとしても、目が耳が…、俺の五感全てが佑に吸い寄せられてしまう。
どんな芸能人よりも佑が可愛いし、佑の匂いが1番好きで、自慰に耽るときはもっぱら佑を思い浮かべている。
でも、佑は俺を好きになることはない。
どれだけ思いが高ぶろうと、それを思い出すと虚無感に苛まれた。
その絶望を誤魔化すように、俺は手あたり次第、言い寄ってくる奴らと付き合った。
俺の見目は整っているらしく、家柄もよくてαだったからか、かなりモテた。
どんなに性格が終わっていようと、恋人は途切れなかった。
けれど、体を重ねるたびに、そいつが佑ではないと気づくと心が萎えた。
中折れしたことだってある。
心ここに在らずなのがバレて引っ叩かれたことだってある。
その顔を見た佑が「なにしたらこんなことになるんだよ」と呆れて、頬を優しく撫でてくれたこともある。
その手の感触は、自家発電の時に大いに役立っている。
結局、俺も佑も結婚しないままアラサーに突入することになった。
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