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第2話 現在 受け視点
俺の幼馴染は死ぬほどモテる。
それなのに、誰とも真剣に付き合おうとしないのだから腹が立つ。
何度寝首を掻っ切ってやろうと思ったことか…
そんな爆モテな彰人と俺が、実は家族ぐるみで仲が良く、政略結婚しかけたなんて話、誰も信じてくれないだろう。
俺は、男として見るには線が細く頼りなくて、Ωとして見るには少々華がない。あと、品もない。
粗野で口が悪くてじっとしていられない。
誰がお前のこと好きなん?
そんな声が聞こえてくるくらいには魅力がない。
俺が「女の子が好きだから、彰人なんて無理」と吠えたからか、直近まで母が持ってくるお見合いの話はご令嬢ばかりだった。
が、ご令嬢の方が「Ω男性はちょっと…」と断ってくる。
それが4~5回となると、俺のほうでも女性からは需要がないと気付く。
実家にいると、母がとても心配してくるので大学卒業を機に1人暮らしを始めた。
どうせ家督は優秀なα兄が継ぐし。
そしたら、実家暮らしの彰人が居つくようになったけれど、寂しかったので丁度いい。
このまま独身でいっか~と思っていた矢先、俺は出会ってしまったんだ。
マイスウィートエンジェル に…
「アイちゃぁん、佑おじちゃんだよ~」
俺がおどけてそう言うと「たしゅく!たしゅく!」とエンジェルが飛び跳ねる。
彼女は、俺の実兄の娘 。
今年4歳になる可愛い可愛い女の子だ。
こんなに可愛い生き物がまだ地球にいたのだと感動した。
俺も子供が欲しいと思い、今年27歳になる俺はもう一度結婚を視野に入れることにした。
実家から出ても定期的に(頻度は減ったけれど)母親からお見合いの連絡が来る。
次、母から連絡が来たら、「今度からは男性に切り替えてくれ」と言うつもりだ。
どうせ女性からは相手にされない。
ならば、俺が産めばいいんだ。
言動は粗野だけれど、見た目は割とΩっぽいし、そっちの方が望みがある。
金曜の夜。
いつものように自炊をしていると、当たり前のように彰人が合い鍵を使って俺の部屋にやってきた。
「おみやげ」と言ってワインを手渡してくる。
「はーい。冷蔵庫で冷やしといて」と料理に集中しながら、彼を見ずに言った。
いつも通り料理を並べ、乾杯をして、夕食を取る。
多分今夜は泊っていくだろう。
お風呂を沸かそうかな~と思っていたころ、母親から着信があった。
これは…、お見合いチャンスだ!!
いつもはノロノロと電話を取るところ、今日は食い気味に出た。
彰人が少し引いている。
「佑?最近はどうなの?元気?」といういつものお決まりの文言から始まり、少しだけ世間話をする。
そして、母から「で、気になる人はできた?」と切り出された。
いつもの如く「いないよ」と答えると、「会ってほしい女性がいるの」と母が切り出した。
「あのさ、女性は俺の事を気に入らないと思うし、会う必要はないと思う」と断ると、母は「そうよねぇ…」と気まずそうに言った。
そこで電話を切るのが常だ。
でも今日は違う。
俺は「あのさ、だから今度からは男性を紹介してほしいんだ」と切り出した。
母が「えっ?だ、男性??」と声を裏返らせて驚いている。
「男性と結婚したいって男は少ないだろうけど、女性よりは望みがあるかなって。
俺、こんなんだけど子供産めるし」
だから…、と続けかけたところで携帯を奪われた。
「おい!何すんだよ!」と隣の彰人を睨む。
彰人は俺を睨み返し、
「あ、依子さん ?そうです。俺もいます。俺から言っておくんで、お見合いはもう大丈夫です。ええ、お体に気をつけて」
と勝手に電話を切って俺に返した。
「ちょ…、なんで邪魔するんだよ!!」
俺は文句を言ってやろうと、彰人に向き直った。
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