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第3話
何も言わず、急に立ち上がった彰人に少々怯む。
こいつ、背も高いし威圧感ヤバいんだよな。
「おい、なんか文句あんのか?
何とか言えってば」
キャンキャン吠えてみるが、彰人は全く意に介さない様子で俺の手を引くと寝室に向かった。
え、寝るの?
このタイミングで??
でも、流石にαとΩだからってことで、寝るときは俺が寝室で、彰人はリビングのソファベッドで寝ていた。
えっと…、「な、なにをするっての?」と訊いてみるも、彰人は無言で寝室に入ると俺をベッドに投げ飛ばした。
両親の支援を受けて、良い値段のベッドを買っていたため、俺の体はバネが効いたスプリングの上でびょんびょん跳ねた。
とはいえ痛い。
「おい!なにす…」
文句を言おうとしたら、彰人が俺の上に覆いかぶさってきた。
ジッと冷たい目で見下ろされて、俺は震えた。
αの威圧怖ぇ…
そして鼻腔をつく彰人の匂い。
そういえば彰人ってめっちゃいい匂いがするんだよな。
香水はつけてないって言ってたから本人の匂いなんだろうけれど…
「男とお見合いするの?」
「え?」
「なんで?俺との結婚は破棄するのに?」
何言ってんだ…?
「破棄って…、あのガキの頃の話?」
「佑が…、女が良いって言うから諦めたのに…、訳分かんない」
彰人が目を潤ませてこちらを睨んでいる。
「女の子のほうが良いけど、女の子が俺を嫌がるんだからしょうがねぇだろ!!
俺は誰かさんみたいにモテねぇんだよ!」
「っていうか、どけよ」と言いながら彰人の体を押すけど、ビクともしない。
なんて馬鹿力…
「男でいいなら俺でいいじゃん。
何でダメなの?」
「いや…、彰人がダメっていうか、誰でも良いっていうか…。
子供が欲しいだけだし」
「は?」
彰人が全く理解できないという顔をしている。
自分がめちゃくちゃなことを言っているのは分かっているつもりだけれど、別に彰人には迷惑をかけてないんだからいいじゃないか。
「彰人には関係ない話だし、いいじゃん。な?」
とにかくこの訳の分からない状況を脱したくて、俺は無理に明るい口調で言った。
「男のΩが妊娠するにはどうすればいいか知ってるの?」
真剣な顔で彰人に訊かれ、俺は頷く。
「えっと…、ヒートの時にだ…、出してもらうんだよな?」
稀にヒート中以外にも孕む可能性はあるが、かなり確率は低かったはずだ。
彰人は溜息を吐くと、俺の顎を片手でつかんだ。
「それじゃあ確率は低いよ。
先にヒート中に項を噛んでもらって、番にならないといけない」
そ、そうなのか!?
「それは新情報だ。
リスキーだけど番にしてもらおう」
ありがとな、彰人…、という言葉は彰人の手に力が込められたせいで言えなかった。
い、いてぇ!!!馬鹿力!!
「いてててて」と声に出しながら、彰人の手をはがそうと藻掻く。
が、αの力に敵うわけがない。
数分抗った後、彰人が
「やだ。佑が他の奴の番になるなんて無理」
と、力なく項垂れてた。
介抱された顎を摩りつつ
「なんだよ、俺は子供を産むこともしちゃいけないわけ?」
と彰人を睨んだ。
彰人には関係ないってずっと言ってるのに、全く聞いてくれない。
お前が嫌とか無理とか、俺の知ったこっちゃない。
自分勝手すぎて腹が立つんだけど。
「違う…、そうじゃない。
じゃあ俺でいいじゃんって言ってるの」
俺でいいじゃん?
それは…、番がってこと?
「い、いやいや…、いくら家族単位で仲がいいからってそこまで背負わなくても」
彰人はモテる。よりどりみどり、選び放題だ。
そんな奴を幼馴染ってだけで「番になろ☆」なんて言えるわけがない。
俺は、子供は欲しいけれどモテない男性と似た者同士でくっつこうと思っていた。
あれ…、でも、番にならなきゃいけないってことは相手はαじゃないとダメじゃないか?
αでモテない奴、見たことないんだけど?
実は俺がしようとしてることって滅茶苦茶に難易度高い…?
己の浅はかさに思い至ったところで彰人が「違う」と言った。
「幼馴染とか関係ない。
佑の番は俺じゃなきゃ嫌だ」
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