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9.苦手な物はどうぞ俺に
「うめぇ♡このピザ、生地が薄くて何個でもいけそう♡」
届いた料理を口にして嬉しそうに感想を述べる伊吹さんは、それはそれは可愛いかった。
ずっと見ていたいぐらいだけど、俺も何か話さなくちゃとピザを食べて伊吹さんの言う事に返事をする事にした。
「本当、美味しいですね♪あ、このサラダもオリジナルのドレッシングを使用しているようで、美味しいですよ♪」
「ほんと?あ、確かにうまいな♪」
ここで俺はある事に気付く。
伊吹さんのサラダに乗っていたプチトマトだ。
なかなかプチトマトを口にしようとしないけど、もしかして苦手なのかな?
前に一緒に食事をした時も残していたのを俺は覚えている。
他にもチキンライスに入っていたグリーンピース、ステーキの備え付けにあった角切りのニンジンなど、野菜を多く残してるのを確認している。
伊吹さんの好みを知れるから良いんだけど。
「あの、伊吹さんって野菜苦手だったりしますか?失礼な事聞いてすみません」
「へっ!?あ、ああコレ?うーん、生のトマトって苦手なんだよな~、こうペーストになってたり、薄切りになってて火が通ってるやつとかなら平気なんだけど……ちゃんと食べないと怒る?」
なるほど!確かにチキンと野菜のトマト煮込みは美味しいって食べていたな!
そうか、伊吹さんは生のトマトが苦手なのか。
なんか可愛いな♡
「怒りませんよ♪伊吹さんの事が知れて嬉しいです♪嫌じゃなければ俺が食べますよ」
「本当?じゃあ食べさせてあげる~♪はいあーん♡」
「!?」
伊吹さんはプチトマトにフォークをブスッと刺して、それを躊躇うことなく俺に差し出して来た。
こ、これは仲の良い恋人同士がやる「あーん」じゃないか!
恥ずかしいけど、伊吹さんの好意を無駄には出来ない!
店内にはもう一組のカップルがいたから、チラッとそっちを確認してから俺は意を決して伊吹さんからのプチトマトをパクッと口に入れた。
あ、てかこのフォーク、伊吹さんが使ったフォークだ!!
「食べてくれてありがと♡残すの悪いなって思ってたんだよな~」
「そ、そうですね……これからは伊吹さんが食べられない物は俺が頂きますね」
「いいのー?尚輝くんお母さんみたーい。あ、尚輝くんは苦手な物ないの?」
恥ずかしさと、間接キスをした事でドキドキしていた俺に気付かない様子の伊吹さん。
パスタをクルクル巻きながら聞いて来た。
「ありますよ、納豆が苦手です」
「嘘ー!美味しいじゃん!」
「子供の頃から匂いとあのネバネバがどうしても苦手で……オクラも苦手です」
「そうなんだ~、尚輝くんにも苦手な物あるんだね。外での食事では納豆を食べる事は少ないと思うけど、もし機会があったら俺が食べてあげるね♪」
「はい♪その時はお願いします♪」
お互い苦手な物を請け負って助け合うとか、仲良い感じがしてとても嬉しかった。
伊吹さんはまだまだ苦手な物が多そうだけど、俺は頑張って食べようと思った。
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