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10.酔っ払い
その後も俺と伊吹さんは楽しく過ごして、予約していた居酒屋さんで夕飯を食べていた。
居酒屋さんが好きな伊吹さんは好きなお酒を飲んでご機嫌だった。
俺はアルコールは得意じゃないから付き合えないのが残念だ。
俺も飲めたら伊吹さんももっと楽しめたのにな。
「尚輝くん、いつもありがとうな♪」
「突然なんのお礼ですか?」
「ほら、毎回ご飯屋さんとか予約してくれてるじゃん、大変だろうな~ってさ。たまには行き当たりばったりでもいいからな?」
「そんな、伊吹さんの為でしたら全然苦じゃありませんよ♪でも俺が予約してしまうと、伊吹さんのその時の気分とは違ってしまう事もありますよね。今度は下調べはしても予約は考えてからするようにします♪」
「本当に俺の事良く考えてくれてるよね~♡尚輝くんって俺の事大好きだよね~♡」
テーブルに肘をついて頬杖をつきながら「えへへ」と笑う伊吹さん。少し酔ってるのかな?
そわな伊吹さんが可愛い過ぎて年上だと言う事を忘れちゃうよ。
本当に伊吹さんは25歳なんだろうか?下手したら俺よりも下なんじゃないかと思う瞬間もある。
決して見下してるとかじゃなくて、それだけ伊吹さんは見た目も考え方も若いって事だ。
「はい♪大好きです♪」
「俺も大好き~♡」
きっとこういうのを幸せって言うんだな。
心が暖かくなるこの気持ちは、今まで味わった事がないような感情で、俺は目の前にいる笑顔の伊吹さんと両想いになれた事をしみじみと感じていた。
ここで伊吹さんのグラスが空になってるのに気付く。
「ビール追加しますね」
「あ、この辺で辞めとく~。俺ね、あんま飲むと寝ちゃうんだよ」
「そうなんですか?なんか可愛いですね」
俺は飲めないから酔うと寝てしまったりする人の気持ちが分からないけど、伊吹さんの酔い方は可愛いなと思った。
「そう?一人ならそんなになるまで飲む事はないけど、誰かと飲んだ時とか一緒にいる人大変だなって思うよ。寝ちゃった俺の事送って行かなきゃじゃん?」
「……過去にあるんですか?」
それはちょっと心配だな。
俺といる時ならいいけど、他の人の前で酔って寝ちゃったらと思うと、気が気じゃ無い。
だってこんなに可愛いのに、伊吹さんに気がある人だったら手を出したくなっちゃうんじゃないか?
ふと大我くんを思い出す。
彼ならキスぐらいしちゃいそうだ……
「あるよ~。たまに一緒に飲む奴がいて、そいつには何度か送ってもらってる」
「その方は友達ですか?」
「友達のようで友達じゃないんだな~。ただの同僚?あ、前に俺んち来た事あったでしょ?そん時に電話して来た奴だよ。あんな風にいきなり連絡して来たり、家まで押し掛けて来たりする迷惑な奴だよ」
「同僚って、デートクラブの?女性の方ですか?」
「男だよ~。ふふ、尚輝くんてば心配してるの~?大丈夫だよ~、そいつとはもう会ってねぇし、連絡もしてないから」
「伊吹さんはモテるので心配です。出来れば他の方の前では酔う程飲まないで欲しいです」
「可愛いー♡分かりましたー♡彼氏の言う事聞きまーす♡」
いつもより明るい伊吹さんは、元気良く手を挙げながらそう言ってくれた。
絶対酔ってると思うんだけど、この会話忘れたりしないよな?
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