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19.目覚める虎
全く起きてくれない大我くん。時間はまだ大丈夫だけど、誰かを起こした事の無い俺には難問だった。
声を掛けてもダメ。
体を揺らしてもダメ。
それじゃあ後は何をすればいいんだ?
と言うか、こんなにしても起きないぐらいに寝てるのに、仮に起こせたとしても怒られないだろうか?
大我くんに頼まれた事だけど、それを忘れていて気持ちの良い睡眠を邪魔された事に嫌な思いをしないだろうか?
そう思ったら何だか不安になって来たな……
でも、ここで俺が大我くんを置いて先に学校へ行ったら約束を破った事になるよな。
それはそれで怒るよな……
あー、どうしようっ。
お願いだから早く起きてよ大我くん!
「はぁ、俺って本当ダメだな……」
「…………」
「友達が頼ってくれてるのに、どうしたらいいのか分からずに助けてもやれないなんて……ごめんね大我くん……」
「……フガッ」
「…………」
俺の悩みなんか知らないと言った顔で眠り続ける大我くん。
そんな彼の寝顔を見て、俺は何となく大我くんの頭に手を伸ばしていた。
逆だった青い髪の毛を触って、軽く梳かしてみる。
バサバサに傷んでいて指が通らない。
「んんーっ……」
「ごめん!」
俺の指が髪の毛に絡んで引っ張られた事に、不機嫌そうに顔を歪める大我くん。
俺は慌てて謝って頭を撫でてあげると、今度は満足そうに笑った。
ホッ……良かった。
「……へへ♪」
「気持ち良いのかな?」
「もっと~♪」
「ちょ、大我くんっ!?」
大我くんが甘えるような声を出して、正座してる俺の膝の上に頭を乗せて来た。
友達に、ひ、膝枕しちゃった!
これは友達として正解なのか?
それともやっちゃダメなのか?
大我くんてば俺に難しい問題ばかり押し付けてくるなぁ。
「いぶき……♡」
「っ!!」
困っていると、大我くんの寝言から伊吹さんの名前が出て我に帰る。
大我くんは今伊吹さんの夢を見ているのか……
何だろう、このとても胸を締め付けられる思いは……
そうだよな、大我くんとは友達だけど、俺と同じ人を好きなんだよな。
それなのに俺は大我くんに何も言わずに伊吹さんと付き合ってしまった……
罪悪感が襲って来て、俺は膝の上にある大我くんの頭をそっと下ろしてあげた。
ここで大我くんが一瞬目を開けた気がした。だけどすぐに目を閉じてまた寝息を立てる。
え!?今の何!?一瞬だけ起きた!?
「大我くん!?二度寝!?いい加減起きて!?」
「あーはいはい、起きますよ~」
さっきまでは聞き取れるか分からないような声だったけど、今度はしっかりと喋ってくれた。
やっと起きた!
それでも大我くんは寝転がったまま、目だけ開けて俺を見て来た。
そしてニコッと笑う。
優しい大我くんの笑顔は、俺の心を更に締め付けた。
「大我くん……」
俺が上手く言葉に出来ずに、ただ名前を呼ぶだけなのを大我くんは寝転がったまま髪を掻き上げていつものように話し始めた。
「お前なんつー顔してんだよ?目覚めてナオキングがそんな顔してたら驚くって。てか本当に起こしに来てくれたんだな♪へへ♪嬉しい~」
「ごめんね……俺、大我くんに謝らなきゃ……」
「何で?え、寝てる俺に何かしたとか?」
俺が小さな声で言うと、大我くんは不思議そうな顔をしながら何故か自分の下半身を触りながら確認していた。
そして上半身を起こして聞いて来る。
「何に謝ってんのー?」
「……実は、伊吹さんと……」
「伊吹?」
伊吹さんの名前を出すと、大我くんは嬉しそうに笑った。
俺は大我くんの顔を見てられなくて逸らすと、欠伸をするような声が聞こえて来て立ち上がり、歩き出した。
「とりまシャワーしてくる~。あ、先行かないで待ってて~?」
「う、うんっ」
ニカッと笑って全裸になり、風呂場へ入って行く大我くん。
俺は打ち明けるタイミングを逃してしまった事を後悔しつつも、こんな事もぼんやり思っていた。
大我くんって本当良い体してるなぁ……
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