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32.もう止まりません

 それから俺は伊吹とベッドの上で寝転がって笑い合って話をしていた。  本当に楽しくて今日学校をサボった事を忘れるぐらい夢中になれた。 「でさ、そん時のおじさんが気前の良い人でさ~!毎回小遣いくれたんだ♪それがある日を境にパタッと予約入れなくなっちゃって~、後から聞いたらルナに乗り換えたんだと!ルナの奴、俺の太客を枕して盗りやがったんだ」 「それは……残念?でしたね」  とにかく今日の伊吹さんは良くお客さんの話をするんだ。  今までこんな事が無かったから、変だなと思っていた。 「伊吹さん、やたらお客さんの話してくれますね。何かあったんですか?」 「え?ああ、そろそろ辞めるからかな?最近思い出すんだよ、あんな人もいたなって」 「辞める日決まったんですか?」 「ハッキリとは決めてない。でもそろそろ店長に言って決めようと思ってるよ」 「そうですか」 「それだけぇ?そこ喜ぶ所だからな?」  伊吹さんに頬をつねられた。  俺はどんな顔をしていたんだろう?  ただ分かるのは、ずっと過去のお客さんの話を聞かされてあまり良い気分ではないって事だ。 「もちろん嬉しいですよ。でも、伊吹さんの思い出も大切にしたいので……」 「それ!」 「え?」 「嬉しいみたいなの!」 「そ、それが何か?」 「嬉しいなら喜ぶ!素直に喜べない何かがあるなら言う!はい言ってみ!?」 「ええー!」  突然そんな事を言われても……  俺が何て言ったらいいのか迷っていると、伊吹さんは両手で俺の頬を包んでそのままキスをして来た。  伊吹さんとの二回目のキスだ!  余計に何を言ったらいいのか分からなくなってしまった! 「んっ、伊吹さんっ!?」 「俺は尚輝くんが言いたい事言わないの嫌だ。気を使われてんの腹立つ」 「そんな……」 「だからちゃんと教えてよ。俺もちゃんと聞くから」 「あ、その……俺、伊吹さんが他の人とデートした話聞くの……嫌、です……」 「マジ?」 「はい。仕事だから仕方ないとずっと我慢していましたが、本当は行って欲しくないんです。たとえ仕事でも伊吹さんが他の誰かと笑い合っているのを想像すると……胸が苦しくなります」 「尚輝くん……やばぁ♡」  思っていた事を打ち明けると、伊吹さんは口元を押さえて何かを耐えるように震えていた。  これは……笑われているのか?  せっかく勇気を出して言ったのに、やっぱり言わない方が良かったよ。 「ああもう、その反応はどう捉えたらいいんですか?俺、今泣きそうです」 「どっかのデケェ青い男みたいにポジティブに捉えたらいーんだよ♡好きな子に妬かれるのってこんなに嬉しいんだな♪」  伊吹さんはとても嬉しそうな笑顔で俺に抱き付いて来た。  まさか、伊吹さんが喜んでいたなんて!   「伊吹さん可愛い過ぎですっ!俺、我慢出来なくなりそうです」  俺はとうとう伊吹さんに覆い被さり、自分からキスをした。  慣れないながらにも伊吹さんに嫌われないようにと、優しく大切にするように唇を重ねた。 「ん……だーから、我慢なんかしなくてもいいんだって。俺も尚輝くんがしたくなったらでいいとか言ったけどそろそろ限界。頼むから手を出してよ、俺ってそんなに魅力ない?」 「!!」  顔を少し離して見てみると、頬を赤く染めて照れ笑いを浮かべる伊吹さんがいた。  そして、俺の腰を掴んで自分に引き寄せて下半身を密着させて硬くなった自身を押し付けて来た……    その瞬間、俺は今まで大切にして来た未開封の宝物のおもちゃを無我夢中で綺麗に施されたラッピングを破りながら開封する思いで、伊吹さんに強引にキスをして服の中に手を入れて肌を感じていた。  時折聞こえる伊吹さんの声にまた興奮しながらも、もう止められないと自分でも分かった。  

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