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第一話『輪廻転生の終わり、新たな騒動の日々の始まり』2

「と言っても、話がややこしくなるんで順を追って説明しますね。」  ユージンはジュンが横になっているベッドの横にあったパイプ椅子に座ると、何故、ジュンと一緒に輪廻転生したかの理由を話した。  事の始まりはジュンが宇宙戦艦の設計図強奪任務に失敗して捕虜になった時の事。  当時、他軍の工作員だったジュンの尋問をする為に尋問官としてジュンの担当官になったユージンは、戦艦の尋問室で仲間のアトラス軍の兵士たちにボコボコにされて捕まっていたジュンを一目見たときに、【超越者】たちの家族以上の唯一の存在である【番】と呼ばれる【超越者】の総てを癒やし、繁栄させる存在の気配を感じたらしい。  【番】は【超越者】にとって唯一の存在で、感情が存在しない【超越者】たちに唯一【愛】という大いなる意志を教えてくれる希少で大切な存在との事だ。  今まで機械のような感情しか無いユージンがジュンを見た途端に電撃のようなモノを感じたらしく、『ジュンは俺の【番】だ!』と思ったユージンは軍の事など知るか!という感情を出しながら、直ぐにジュンを捕縛している部下を殴り倒して保護しようとしたらしいが、部下を殴る寸でのところでジュンに付いている黒い嫌な気配があるモヤのような物が身体中に付いているのが見えたらしい。 「それでこの捕虜、何かヤバイなと思って叔父にジュンさんを見てもらった所、何と叔父の奥さんと同じ【邪悪なる地母神の呪い】とやらにかかってるのが発覚しましてね。」 「何?そのよく分からない謎の呪い。」  聞いたことがない訳の分からない【呪い】が自分にかかっていた事を聞いたジュンは、不審そうな顔をしながらユージンに聞くと、ユージンはこう説明した。 「【邪悪なる地母神の呪い】とはですね、叔父の説明によれば叔父の父親と弟、つまり俺の祖父と父親がとある惑星で探査活動中にたまたまある惑星に眠っていた豊穣神的な存在を起こしたみたいでしてね。その起きた女神がボンキュッボンの美女だったみたいで。ほら、叔父はマトモな分類に入りますが、祖父と父はシモに対して頭の緩い連中で、その女神とやらが祖父と父親の好みのドストライクの人でしかも裸だったからもんだから、其の場で祖父と父親が女神に盛ってヤってしまった訳ですよ。セのつくアレを。」 「起きぬけの人を有無言わさずに襲うなんて、強姦魔じゃない。」  ユージンの祖父と父親の話を聞いて、ジュンは呆れた顔をすると、ユージンは同じ様に祖父と父親に対して呆れた顔をしながら言った。 「あの人たち、共に自分が能力が高くて顔が良いから、良い雌は全てヤるのが義務だと思い込んでいる変態たちですから。今まで静観していた叔父が今回の件でやらかした祖父と父親にキレちゃいましてね、一族の反(アンチ)祖父父親派閥の方々と共に謀反起こして、祖父と父親と二人を慕う側室共々何処かの惑星に二人とも蟄居という名の【超越者】能力封印処置しましたからね。まあ、本人たちは好き勝手に色々ヤれるから、嬉々として蟄居を受け入れましたが。」 「君の一族も大変だねえ…。で、もしかしてその女神様を君の祖父と父親が強姦しちゃったもんだから、一族に呪いがかかったと?」  ユージンの話を聞いて、何となく事情を察したジュンはユージンにそう聞くと、ユージンは『そうです!』と大きな声を出した。 「叔父曰く、地母神からは祖父に『お前の息子と孫たち、特に優秀な人材多いみたいだから、嫁になる奴が現れたら呪いをかけて根絶やしにしてやる!』とか言われたらしく……」 「それでユージンに【番】認定された僕に変な呪いが……」 「何かすいません、うちの馬鹿爺とイカレ親父が。それで何で輪廻転生してたかですが……」  とばっちりで無自覚の【呪い】にかかっていた事を知ったジュンにユージンは謝ると、【呪い】と輪廻転生についての説明をしだした。  ユージンの話によると。  【邪悪なる地母神の呪い】(ユージンの祖父が勝手に当て付けで命名)にかかったものは、【番】が子を作る前に壮絶な死を経験して死ぬという酷いとばっちりの【呪い】らしく、これを解除するにはその【番】の魂にランダムに刻まれている【呪い】の数の年数分、【番】と共にヒビヤ一族も死ななきゃならないらしい。(曰く、裏でユージンたちを見ている地母神に自分たちは地母神様に屈しましたアピールするために一緒にひどい死に方すれば地母神の気持ちが収まるとのことのため)その為、ユージンの叔父に頼んで、ヒビヤ一族が使える特殊な時空変動術を使って輪廻転生をしていたとのことだ。 「それで何度も記憶を持ちながら、僕はユージンと酷い死に方したんだね…。一番酷かったのは神父の時に大聖堂からの命令で魔王倒すための特攻人間爆弾にされたことだけど。」 「あの時は俺もジュンさん爆死したあとに大ダメージ受けた魔王と相討ちになって互いに細切れになったんで許して下さい…。あれのお陰で【呪い】の消すノルマが大分減ったんで。」  神父と聖騎士時代のユージンたちの死に方が余りに酷すぎて、当時ユージンの一族にかなりの恨みを持っていた地母神が正気になるどころか可哀想と同情したため、予定では1000年かかるものを500年まで減らしてくれたらしい。(因みにユージンの叔父も似たような事をやって同じ500年コースになった。他の一族は現在も永続中かまだ【番】にあっておらず、生存している) 「はあ…、まず輪廻転生の事については分かったけど、ユージンが前回死ぬ間際に準備が出来たとか言っている辺り、その【呪い】とやらは消えたと考えていいのかい?」  ユージンの祖父と父親の強姦事件のせいで訳の分からない【呪い】がかかっていた事に対して、軽く頭痛を感じながらも、ジュンはユージンに酒場時代の【前世】の事を思い出しながらユージンに聞くと、ユージンは満面の笑みでこう言った。 「地母神様のご了解得まして、全ての呪いを消してもらいました!前回、いつもならもうちょいグロテスクな死に方がするのに刺殺と射殺一発だけだったんで、終わったと思ったんですよね!これで心置きなく愛し合えますよ、ジュンさん!」  キラキラと満面の笑みを浮かべているユージンに、ジュンはクスっと笑いながらこう言った。 「まあ、【前世】からユージンの事は好きだったから、訳の分からない【呪い】とやらが、無くなったならいいけど。」 「大丈夫です!あれから冷静になった地母神様からは『冷静に考えたらあの男の子孫が性欲馬鹿だけとは限らないな』と巻き込まれ【呪い】に関して、俺と叔父にのみ慰謝料として色々頂いたんで!あ、因みにジュンさんのその身体も慰謝料の一つですよ?俺と同じ【超越者】仕様にしました。」 「は?」  ユージンの口からジュンの身体を人から【超越者】の身体に変えてあると言われて、ジュンは目を皿のように大きく開いた。 「いやいやいや、ユージン、幾ら超常生命体でも人間を神にって無理でしょ?」  また冗談をと言いそうな口調でジュンがそう言うと、ユージンは真面目そうな顔でこう言った。 「そうでもないですよ?今は無き地球でもキリストが人から神になったじゃないですか。それと似たようなもんですよ。主にDNA配列をいい感じに変えてもらいましたし。あ!ご心配無く!ジュンさんの美しい顔と身体は変えてませんから!変えたの内部と一部外部だけですから!」  そう言ってユージンは着ていた黒のパイロットスーツのポケットから、小型の鏡を出すと、それをジュン渡して、外見を確認するように促した。  ユージンから小型の鏡を受け取ったジュンは鏡を自分の方に向けて、今の外見を確認した。  鏡に映っていたのは裸の自分の姿で、昔の茶色い短髪から髪が肩まで伸びたウェーブかかっている黒髪に変わり、以前より大分色白になった自分の中性的な顔で、瞳の色が以前は東洋系特有の赤茶色だったのに、今はユージンと同じ青みがかった銀色になっていた。 「うわあ、この陶磁器のような白肌に銀色の瞳…、本当に【超越者】仕様になってる…。」  己の身体が【超越者】特有の色になってしまったことに気づいてしまったジュンは鏡で己の姿を見ながらそう呟くと、その様子を見ていたユージンがニッコリ笑いながら言った。 「ジュンさんが俺色になるように調整しまくりましたよ。これなら誰がどう見ても俺の【番】って分かりますよね!」 「俺色って、確かにこの肌と目はユージンだけどさ。何か露骨過ぎて恥ずかし……、はっ!!」  ユージンの口から一部外部が変わったと言っていたのを思い出したジュンは、先程から感じる下半身の違和感に嫌な予感をしながら、バッと掛けられていたシーツを捲りあげて、己の下半身を見ると、とんでもない事に気がついた。 「…なんて事、昔からあった物が小さくなって、更に無い筈の穴がある…。」  自分の下半身を確認する度、ジュンが呟くように自分の下半身の状況を言うと、ユージンは何故かニコニコと笑いながら言った。 「いやあ、DNA配列をいい感じにしようとしたら、神の御業って奴ですか?発動したみたいで、ジュンさん、男から半陰陽(ふたなり)になっちゃったんすよね。でも大丈夫です!俺以外は見ませんから!外見の作りは昔と同じく妖艶なお姉さんにしたままですから誰も下の事は分かりません!」  男としての象徴がミニサイズになり、更にオプションで穴が増えている事にショックを受けているジュンに、ユージンは口早に弁解をしていると、ジュンはボソリとこう言った。 「これからどうなるんだろう……。」 「大丈夫です!俺がハッピーにします!」  地獄の輪廻転生が終わったのに、自身の身体がとんでもないことになって、これから先がある意味お先真っ暗な状態のジュンに、ユージンは自信満々にそう言い放ったのだった。  これが前途多難な二人の新しい日々の始まりである。

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