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第3話
「貴様の価値を決めるのは我々だ!貴様ではない!」
それでもなお10億と言って聞かないメルヴィンに痺れを切らし貴族の一人が声を荒らげながら言った。
「やれやれ、ここにいる皆さんはなにも分かっていないようだ」
呆れたようにメルヴィンが言うと会場にいた貴族たちは一斉にメルヴィンを睨みつける。
「俺の価値を決めるのがあなた方であっても最終的に俺を売るかどうか決めるのは現時点での俺の主である司会者兼開催者であるこの人だよ?」
司会者に近づき肩を抱きながら、ねぇ?とにっこり微笑んで同意を求めた。
「彼が俺を売らないと言えば俺が売られることはない」
司会者が同意することはなくただ、今の状況が把握しきれてしないのか、呆然としていた。
「あなたも俺の価値がたった1億だと本気で思ってるわけじゃないよね?」
「あ、いや…私は…」
上の空状態の司会者を問い詰めるが、司会者は口篭る。
だが会場を見渡し、空気を読みゴホンと咳払いをして己の見解を話した。
「確かにその美貌に対して1億というのは安いとは思いますが、今の我が国の現状を考えると妥当な値段かと…」
それを聞いたメルヴィンは、今の現状ねぇと誰にも聞こえないぐらい小さな声で呟いた。
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