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第3話
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翌朝。
「……出ない」
堀は自分の胸を見下ろしながら、冷静に呟いた。
「は?」
武田が真顔になる。
「全然出ない」
「昨日あんなに出てただろ」
「知らねえよ」
何度押しても、なにも起きない。完全に元通りだ。
「確認させろ」
「ちょ、やめ、うあぁっ」
スイッチみたいにぽちぽち押してくる武田から堀は逃げる。部屋の隅で捕まった堀は、観念して胸を見せた。
「……マジか」
武田が本気で落ち込んだ顔をする。
「いやお前のその顔なに」
「搾乳器、ポチったのに」
「早えよ」
反射でツッコミが出る。
「しかも三種類ぐらい」
「……」
本気で殴ろうかと思った。
武田はしばらく黙って、それからぽつりと言う。
「でもまあ」
「なに」
「下のミルクは毎日出るからいいか」
「飲むなよ」
即答だった。
数秒後、どちらからともなく笑いが漏れる。
くだらない。
でも、悪くない。
そんな朝だった。
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